ショートショート07-1:本気出す出す、いつか出す
「なあ、どうする? 人権、放棄する?」
いつもの居酒屋のいつもの席。俺はいつもの中ジョッキを手に、幼馴染みの栗田に尋ねた。
「もうすぐ俺たち30だろ?人権どうしようかなって最近悩んでててさ」
10年前に施行された特別動物愛護管理法によって、俺たち国民は30歳になると人権を放棄することができるようになった。
「人権を放棄するってのはどんな感じなんだろうね」
栗田がタコワサを箸でつまみながらポツリと呟いた。
「死ぬ、みたいなもんだろ」
俺は言った。
「人権