ワクチンの早期接種が日本を救います。

日本でもコロナのワクチン接種が始まり、それをどれだけ早く効率的に接種することが可能なのかを「総選挙」を目安に考えてみました。日本では原則、接種の実行は市町村単位の自治体に任されるようですが、インフルエンザワクチンのような「個別接種」だと接種率が上がらず、目標である「集団免疫の構築」は遠くなってしまいます。

インフルエンザとの違いはその目標です。インフルエンザワクチンは集団の感染防止という面もありますが、個人の動機としては「自らの感染防止、重症化の回避」という面が多かったと思います。インフルエンザワクチンの有効率が50%前後ということもあり、目標として「集団免疫の構築」はほとんど考えられていなかったというのが実情だったと思います。

さらにインフルエンザはコロナと比べると感染力が弱い上に、高齢者の重症リスクも低く、重症になった場合の医療処置の時間が比較的短いので、コロナほどには医療機関への負担が少なく、医療崩壊にもつながりにくいという面があり、今まで「集団免疫を構築しなればならない」というコンセンサスが作られなかったという事情があります。

それに比べコロナは今年1年の経緯で明らかになったように、医療的にも経済的にも「インフルエンザのような扱いはできない、なんとか抑え込みたい」というコンセンサスができました。さらに出来上がったコロナのワクチンの有効率は95%ともいわれる驚異的に効果のあるワクチンであることがわかって「集団免疫の構築」が可能かもしれないと考えられているわけです。

世界中でコロナワクチンの争奪戦が起こっているのもこの「驚異的な有効率」とも無縁ではなく、どの国も「ワクチン接種が唯一のコロナ禍からの脱出策」であることを理解しているからです。そのため、どの国も「いかに早くワクチンを接種して集団免疫を構築するか」を目標としており、医療的にも経済的にもいち早いコロナ禍からの脱出を目指しているのです。

アメリカでは、「ワクチン接種のために野球場で24時間体制で打ちまくっている」とか「医療スタッフが足りないので警官を臨時に教育して打たせている(実際にはフローアップと思われる)」「薬局でも接種が始まった」みたいな話が聞こえてきて、スピード重視のワクチン接種で、今年早めにも「脱コロナ」を実現できる可能性が見えてきています。

同じことを日本でやるのは、全てにスピードより慎重さを重視する日本では無理かなとも感じていますが、インフルエンザのような「個別接種」では全く話にならないことは自明です。ワクチンの担当相である河野大臣も「集団接種」が原則とおっしゃっていますが、実際にはどのような形で行うつもりなのでしょうか?!

ボクは供給が追いつくのであれば総選挙の投票所のような施設で「接種日」を決めて接種する方法があるかもしれないと思いました。もちろん選挙と同じで、接種するかどうかは自由なんですが、選挙のように集中して接種をしないと日本の人口から逆算すると何年経っても接種が終わらないということにもなりかねません。

選挙で1票入れる時間より1回のワクチン接種がどのくらい手間がかかるか。まず接種の前に問診があって、注射自体はすぐできるけど、その後に最低15分はその場に居ないといけないことも考えると、もしかするとワクチン接種は献血1回と同じぐらいの手間がかかるのではないかとも思えます。。

献血1回はボクの経験からすると受付から献血ルームを出るまで、2時間程度はかかる印象です。それに比べ選挙の投票は5分くらいですかね。つまり、ワクチン接種は投票の24倍の時間がかかる計算です。投票率50%で1日と考えると、接種率も同じくらいにするためには「接種日」が24日が必要という計算になります。

ただ対応できる医療スタッフは選挙のようには簡単には用意できないでしょう。医療スタッフはどのくらい準備できるんだろう。想像もつかないけど、24日連続というのも無理でしょうね。うまくいってもその4倍くらいの時間、100日くらいはかかりそうですね。しかも毎日は無理だから、週2回接種日を設けることができたとしても、最低でも1年はかかる計算です。

先日、献血に行って赤十字のお医者さんに「うちの市では半年で70万回ワクチン接種する計画があるみたいですが、できると思いますか?!」と聞いてみたら「そんな上の人が言ってもね・・」と首を振ってました。まぁ赤十字が主体でやるわけじゃないでしょうけどね。

今は非常事態なので、手続き論や完璧なトラブル防止策を優先するよりも、いかに安全にスピード感を持ってワクチン接種ができるようにできるか、アイデアを出し合うべきだと思います。こういう時こそ政治家が責任を持って決断しなければなりません。

こういうことを言うと「急いで安全性を無視していいのか?」というブレーキをかける人がいるのですが「安全性を担保した上でスピーディーに接種するアイデアを考えよう」ということで、何事もゼロリスクは無く、ワクチン接種が遅れれば感染による被害者が増えることのバランス感覚も必要って話です。

時代が違うことも、昔が良いとも全く思いませんが、ボクらの子供の頃は学校で集団接種がありました。40年以上前のことなので記憶が正確ではありませんが、教室にお医者さんと看護師さんの2人体制だったのかな。ボクらは1列に並んで看護師さんに腕を消毒されて、お医者さんに次々と注射されてました。

ワクチンの接種時間はひとり当たり30秒くらいで済んでいたと思います。接種前の問診も簡単な質問程度、アレルギーに敏感な時代でもないので、接種の後はすぐに教室に帰っていました。もちろん自分が知らないところで事故もあったのでしょうが、それを考えなければ最短ではひとり30秒でできるのです。

もちろん、今はそんな雑な接種方法で実施できるわけはないですが、今の献血ルームのような「万全と思える体制」で接種するとなると、1年経っても国民半数の接種も終わらないと思います。いかに安全性を担保しながらも、なにを削ぎ落とせるのか、どの部分でスピードを上げて、どの程度のスタッフが必要になるのかを考えるというが必要です。

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