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読書感想文_レゾンデートルの祈り

書籍について

書籍名:レゾンデートルの祈り
著者:楪一志
発行:ドワンゴ
発売:KADOKAWA
定価:1,700+税
https://amzn.asia/d/agz0hXa

感想

 安楽死制度が導入された日本を舞台にしたお話。アシスターと呼ばれる、安楽死を希望した人々に生きる希望を見つけてもらうべく活動する人物を主人公とした物語。

 単純に、人の生と死を扱った作品であると軽々に評することのできない設定であり、俗に言う、医療系ともまた違った視点から「生きる理由」について考えるきっかけとなる作品であるように感じた。
 しかし、ストーリーに関して賛否のわかれるものであると感じた。いや、むしろ賛否が分かれて当然であると思う。
 作中にもあるように、世の中には多様な死生観を持つ人々によってあふれかえっているわけで、「生きることは善で、死を選ぶことは悪である」とは言い切ることができない。が、この作品全体を見ると、上に述べた思想に偏っているように思えた。
 つまるところ、この思想に共感できる人にとっては、この作品は傑作であると感じることができるのだろう。逆に、「人が自ら死を選ぶことも、また肯定されて然るべきものである」と考えられる人にとっては、読み進めていくにつれて、先に進むモチベーションが低下してしまうだろう。

 ともあれ、先にも述べたように、生きる理由について考えるきっかけになる点は万人に共通するだろうと思う。

あとがき

 各所のレビューにおいて、ストーリーについて「浅い」と言及されている方を複数名見かけることができました。
 もちろん、彼らを批判する意図は全く無く、読書において求めるものは各々違うものであることを理解したうえで、私の所感を述べさせていただきたい所存です。

 私は常々思うのです。読書とはきっかけである、と。
 この感想文中において幾度かこの言葉を用いましたが、各々が異なった考えを持つように、私はこう思うのです。
 重たい物語ばかりでは胃もたれしてしまうでしょう。ですから、浅いくらいがちょうどよいのです。

 ちなみに私は、読み物としては「賛派」ですが、ストーリーそのものについては「否派」です。

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