短歌☦︎︎ 28

季節感などない


薔薇薔薇に 砕けた造花 愛を受け 生花と成るを 知る由もなく

花霞 人の世重ね 憂うのは 幕が閉じゆく 泡沫の春

雪うさぎ 春が立つ日の 光浴び 溶けてもここは まだ温かい

錆び廃れ なおも木馬は 回ってる 訪れる死の 意識もせずに

清らかな 彼女の背負う 原罪は 何だというの 神などいない

情愛に 入る亀裂は 致命傷 形なき故 二度と治らず

からころり ラムネ小瓶の 瑠璃の玉 空へ掲げて 夏色映し

確証の 無いもの縋る 人々に 哀れむ声は 届かず虚無へ

これ以上 優しくしないで 醜いの 甘えてばかりの 弱い自分が

迷いなく 群れを外れた あの鳥の 行き着く先は 自由な空で

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