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読んでもすごい、野口先生

創業から15年を経た出版社。せっかくいいコンテンツがあるのだから、いろんなメディアで提供しよう! と思い立ち、オーディオブックをつくることにしました。

真っ先に浮かんだのは、やっぱり野口芳宏先生
ご存知の方はご存知の通り、国語の授業名人と称される野口先生は、朗読もすごいんです。
どんなにすごいかというと、素人ながら、かつて開催された
毎日新聞社 生誕120周年記念「河井寛次郎~生命の歓喜~」展
で上映された映像作品で河井寛次郎の声役として抜擢され、収録の際は、プロのミキサーに「こんな声はプロにもいない」と絶賛されたとか。
※この時の作品、どこかで聞けないかと探してみたのですが、ちょっとわからず、ご存じの方がいらしたら、ぜひ教えてください<m(__)m>

さて。
そんなわけで、第一弾には、野口先生のお言葉がカレンダー式に著された
『心に刻む日めくり言葉 教師が伸びるための 野口芳宏「師道」』
を野口先生ご自身に読んでいただくことで、さらに耳にも胸にも響く作品にしようと、米寿を迎えられた先生を口説き落とし、実現いたしました。

オーディオ作品。本来は外界から遮断されたスタジオで収録すべきです。重々承知しております。
が、そこは御大野口芳宏先生。
「うち(観音堂)でやればいいよぉー^.^」
とのご託宣。
ご高齢ながら今もって「超」のつくご多忙の身。スタジオまでご足労いただき缶詰めにするのも心苦しく、また現在のお住まいは閑静な千葉県は君津の里の小高い山上に立つ観音堂ですから、仰せに従い、観音堂収録を敢行いたしました。

現在、野口先生が寝起きする 観音堂

それは、まさに敢行でした。
収録当日。早朝自宅を出た時から雨に打たれて参りましたが、君津は「嵐」と呼ぶにふさわしい荒天。控えめに言っても土砂降りです。
観音像や野口先生のご先祖様のお写真に見守られながらの収録は、非常に貴重で尊いものの、八畳ほどの広間は反響音も有難いほど(涙)
そしてそして、観音堂は風情ある昔ながらのガラス嵌めの木戸。もちろん雨戸などありません。風雨は容赦なく戸を揺らします。ガタガタガタガタ…。

これは厳しいと、サッシ戸のある野口先生の書斎へと拠を移せば、こちらはトタン板に間断なく打ちつけては流るる雨音。ゴーゴードドドドドドド…。

嵐の収まるのを待つ間、私の頭の中にはムソルグスキーの「はげ山の一夜」が大音量で鳴り響いておりました。

Igor Markevitch指揮によるMoussorgsky「A Night On The Bare Mountain」(怖い)

ともあれ、野口先生の神通力か観音様のご利益か、昼過ぎには雨も上がり、なんとか収録開始。
すると、何本か読み始めたところで、野口先生からこれまた有難いご提案

この「日めくり言葉」は、一日一語、野口先生の端的でキャッチ―なお言葉(野口語録)に、ご本人による解説が付された構成なのですが、書かれた通りそのまま読むだけでは、言葉が耳に残らず、響き方が弱いのではないか。
語録部分だけ繰り返して読んだ方が印象を強くするだろう、と仰るのです。

つまり【[語録]→[解説]】を【[語録]→[解説]→[語録]】で構成しようということ。

試みていただいたところ、これがまた、リズムもよく滋味に満ちたお言葉を引き立て、とびきりの説得力
すでに書かれてある原稿を読み上げるという作業においても、こんな演出の工夫をされる御大に改めて感服した次第です。

ご本人も、読むほどに調子を上げられ、素晴らしい作品となりました。
(とはいえ、観音堂収録の音源がちょっとアレだったために、オトバンクさんにずいぶんご面倒をおかけしたことは誠に申し訳なく……次回作、ガンバリマス!!)

同作、いよいよ発売開始され、早速ご好評いただいております。
感謝感激アメアラレ<m(__)m>

心に刻む日めくり言葉教師が伸びるための 野口芳宏 師道【オーディオ版】

audiobook.jp
https://audiobook.jp/product/270280

(編集R)