ラオスの首都ヴィエンチャンにおける救急医療体制の革新~さくらのクラウドが支える医療改革の最前線~
はじめに
途上国での医療体制は多くの課題を抱えています。特にラオスの首都ヴィエンチャンでは救急医療の体制が整っていないことが原因で、交通事故が生死に直結することがあります。
当社のお客さまでもある株式会社社会システム総合研究所(以下:社会システム総合研究所)が主導している国際交通救急研究会JAGRE(以下:JAGRE)が、当社のIaaS型パブリッククラウド「さくらのクラウド」を活用してこれらの課題解決に取り組んでいます。
本記事では、以前当社からお届けした以下記事の、その後の活動についてガバメント推進室の深井よりご紹介します。
▼ニュースリリース
さくらインターネットと社会システム総合研究所 JAGREを通じて、ラオス救急医療のDX支援を決定(2021年6月)
▼当社オウンドメディア「さくマガ」
「社会システム総合研究所とさくらインターネットが進めるラオス救急医療のDX支援」(2021年8月)
背景と進展
JAGREによりさくらのクラウドを活用して開発された「救急医療サービス(EMS)支援システム(以下:EMS)」は、コロナ禍から普段の生活が戻るに連れて増加した事故データを蓄積し始めました。これらのデータを分析することで事故の傾向が明確になり、より効果的な救急対応や事故そのものを減らしていくアクションを可能にしました。
また、2023年7月には、この取り組みを支えるクラウドサービスの提供に対してラオス保健省とミタパーブ国立病院から感謝状が授与され、当社からは代表して執行役員 髙橋隆行、テクニカルソリューション本部 本部長 松田貴志(当時の所属: CS本部 テクニカルソリューション部 )、ガバメント推進室 深井雄輝(当時の所属: CS本部 営業部 )が表彰を受けました。
本感謝状は、このプロジェクトがヴィエンチャンの救急医療体制向上に大きく貢献していることの証です。この授与式は、プロジェクトが地域社会に与えている影響を象徴する出来事となりました。
システムの導入とさくらのクラウドの役割
EMSは、救急車の到着時間と正確な位置情報をリアルタイムで記録し、最適なレスキューチームの派遣を可能にするシステムです。また、事故現場の写真や患者の生体情報を即座に収集し、効率的な医療対応を支援しています。
EMSは、さくらのクラウド上で構築されています。さくらのクラウドはISMAP準拠の国産クラウドサービスであり、2023年にはデジタル庁が公募した「ガバメントクラウド整備のためのクラウドサービス」として条件付きで認定されました。日本にサーバーを置きながらも、遠く離れたヴィエンチャンで安定したパフォーマンスを発揮しており、喫緊の対応が必要な状況下でも信頼性の高いデータ処理を提供しています。
実施成果
EMSの導入により、ヴィエンチャン全域で救急レスポンスの質と速度が大幅に向上しました。特に、事故現場への到着時間の短縮は、多くの患者の命を救う結果となっています。
今後はこのデータを保健省や公共事業運輸省、現地警察などにも共有し政策にも反映してもらえるよう働きかけを行ったり、飲酒運転による事故を減らすための交通安全教室を開いたりと、官民両軸での安全意識の改革が急務だと考えられています。
まとめ
本件では、JAGREを主導する社会システム総合研究所の想いと技術力、さくらのクラウドが結びつき、ヴィエンチャンにおける医療体制の改善に大きな一歩を踏み出しています。
当社は引き続き「『やりたいこと』を『できる』に変える」のビジョンのもと、パブリッククラウドを通じて社会問題の解決に貢献してまいります。