舞踊家の哲学 市川櫻香


日本を訪れる外国人の多くは伝統芸術文化を求めて来日する。
世界的な関心の的は、寺社と日本庭園、能、歌舞伎と茶の湯である。
これらは、実はひとつに繋がっていることを、わかりやすく説明す
ることがなかった。
それぞれ個別で鑑賞するばかりである。
日本人も、その構成や美しさを、神秘性や深遠性、禅思想、といった
言葉に終わり、はっきりそのことを、伝えることができていない。
歴史を振り返り、能や歌舞伎では、その物語を説明するばかりである。
これでは、外国の人にも子供にも伝わらない。

そこで、身体表現から日本文化を知ること。
世界と日本を相対化しつつ、私たちの持ち前にある文化の根柢を掘り
起こし、自分の主体にする。ただ、鑑賞し、頭で考えるだけでなく
もう一歩進めて。

伝統の舞踊は、リアルとカタチをはっきり理解します。
一番大切なことはリアルであること。その為に歴史を学び思想を学ぶ。
カタチは、技術の習得。古代日本の常世思想では,はるか水平線の向こうに永遠の生命、神の世界があると考えた。水や池、山に神聖なものを感じることにも歴史の中で、はっきり理解ができる。
その水を手にとる時の清浄な気分は、実際に上高地の神池などに行き
手に取れば誰も理解できる。
人は、背後に山を背負い、前方に平地が広がるような場所で落ちつく。
いわゆる風水の地である。そこに立つと人は、安心した心地になる。
実際に行き、その心持ちを表現に現す。このことは、舞踊に限らず、画家、造園家の仕事も、その心を知っていれ、身体の元に突き動かされて、納得できるまで、いわば芸術の虜となり、その情景を描き産み出していくのでる。


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