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藤吉がまた居ない

【櫻の魔法 〜楽屋の記憶〜「藤吉夏鈴」】
「藤吉〜帰るよ〜」

また藤吉が居ない。

「.....」
「おわっ!びっくりしたここに居ったんや」
「.....ちょいちょい」

藤吉は手招きする。

「なになに」
「写真撮ってください」
「あぁいいよ」
「.....はい」

スマホを渡されると間違えてスマホをスリープモードにしてしまう。

「あ」
「......!」

藤吉は見たことないスピードでスマホを取り返す。

「.....見た?」
「いや.....見てないけど」
「見たよね?」
「なにが?」
「絶対見たじゃん.....」
「れなぁの寝顔が壁紙なこt痛い!!暴力反対!!」
「絶っっっっっ対誰にも言わないで」

藤吉は距離感が狂ってる。

「....近いって」
「え?あ、ごめん笑」
「はい、スマホ貸して。ぱっと撮ってぱっと帰るよ」
「要らんことせんでよ?」
「せえへんって笑」
「したら怒るよ?」
「分かってるって、ほらみんな待ってるから早よし」
「......」

シャッター音と空調の音と遠くからメンバーの声が聞こえる。

「なぁなぁ」
「なんですか?」
「れなぁのどこが好きなん?」
「殴られたいってこと?」
「もういいじゃんバレたんだから」
「......絶対言わないでよ?」
「もちろん」
「......可愛くて」
「うん」
「......一緒に居て楽」
「めっちゃ好きや〜ん」
「もう!だから言いたくなかったのに!」
「いつ好きって言うん?どうせまだ伝えてないやろ」
「そんなんちゃう」
「え?」
「ん?」
「そんなんやろ?」
「.....ほんとに怒るよ?」
「笑笑  はい撮れたよ。特に最後の写真オススメやから絶対載せよな?」

それは藤吉が驚いてる顔。

「○○さんなんか大嫌い」
「可愛いやつやなほんま、はよ帰るで」
「.......」
「嫌いな癖にひょこひょこ着いてくるんやな」
「うるさいたまたま並んでるだけ」

急に止まってみる。

「........何してんのはよ帰ろ?」
「ツンデレか」

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