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美羽ちゃんは勉強中

【櫻の魔法 〜美羽ちゃんは勉強中〜「村山美羽」】
「ねぇねぇ○○ってアイドル好きだよね?」
「うん、そうだけど」
「可愛いを教えて欲しい」
「.......え?」

クラスメイトの何考えてるか分かんない村山に放課後、そう突然言われた。

「え、どういうこと?」
「だから可愛いって何?」
「.....」
「聞こえてる?」
「聞こえてはいる」
「無視しないで」
「.....もしかして罰ゲーム?」
「なんで?」

.....この感じたぶん違う。

「.....いやなんでもない」
「可愛いってなに?」
「なんで可愛くなりたいの?」
「なんで....?」
「いやなんて言うか村山って可愛いより綺麗系というか......」
「嫌なの」
「というと?」
「意外って思わないで欲しいんだけど、私可愛いのが好きなの」
「意外」

叩かれた。

「.....別にいいけど、あくまでも俺基準よ?」
「いいよ」
「あそう」

とは言っても『可愛い』は知ってるけど教えられないしなぁ......。

「.....なにが気になるの?」
「ん〜.....可愛い仕草とか」
「仕草かぁ.....」
「なんかある?」
「.....待った、これ俺引かれたりしない?」
「しないから早く教えて」
「ん〜.....最近見て可愛いなって思った仕草はこれ」

自分が推してるアイドルが笑って口を隠してる写真を見せた。

「笑う時に口隠すの可愛いなって思う」
「きも」
「どっか行け」
「ごめんってば、怒んなくてもいいじゃん」
「やってみて」
「こう?」

初めてにこにこしてるところを見た。

「......」
「......ねぇ合ってる?」
「......うん」
「そっか.....他には?」
「あとは定番の猫耳ポーズとか」
「きも」
「帰れ」
「怒んないでってば.....こう?」
「うん、いいんじゃない?」
「可愛い?」

言えるわけない。

「.....あとは」
「ねぇ」
「ぷく顔とかじゃない?」
「......」

村山を見ると無言でやってた。
かわいいかよ。

「他は?」
「なんだろうな.....袖掴むやつとかじゃない?」
「なにそれ笑」
「甘えるのが可愛いんだよ」
「袖貸して」
「はい」
「......ふっ笑 合ってる?笑」

村山は俺の袖を掴んでぶんぶん横に振ってる。

「合っ.....てる.....?」
「なにこれ笑」

村山は笑いながらしばらくぶんぶん振ってた。

そこからひたすらアイドルの可愛い仕草を教えたら意外と全部やってくれた。

「他にある?」

その間ずっと気になってることを聞いてみた。

「.....答えたくなかったら無視してもらっていいんだけど、もしかして振られたりしたの?」
「なんで?」
「急に可愛くなりたいってそういうことかなって」
「ううん」
「.....変なやつ.....あ、ごめん続きはまた今度でいい?」
「なんで?」
「推しの番組始まるから帰りたい」
「待って」

腕を掴まれる。

「なに?」
「まだ○○から『可愛い』って言われてないんだけど」
「え.....?」
「.....やっぱり可愛いって似合わないのかな」

掴んでいた手が緩くなる。

「.....可愛いけど」
「.....けど?」
「いや、なんかあんまりこういうの言ったらそれこそキモイじゃん」
「そんなことないよ」
「じゃあそゆことで帰るわ」
「待ってってば」

さっき教えた上目遣いで袖を掴むやつをされた。

「.....なにしてんの?」
「さっき教えてもらったやつ」
「なんで?」
「可愛いって言われたいからやってみた」
「.....え、なに?アイドルにでもなりたいの?」
「別に」
「.....訳分からんやつ」

カバンを手に取り教室を出ようとしたらまた掴まれる。

「それさっk」
「好きな人に可愛いって言われたいって理由じゃダメなの?」
「.....は?」

村山は上目遣い+涙目+八の字眉+袖掴みをしてた。
これも全部さっき教えたやつだった

「.....それって」
「.....うん」
「やっぱり振られたんじゃん、しょうもない嘘つくなよ笑」
「.....え?」
「で?どいつ?」
「待って勘違いしてる」
「ん?」
「私が好きなの○○なんだけど」

情報の処理が終わらなかった。

「えーっと.....」
「2度も言わせないで」
「.....まじなやつ?罰ゲームじゃなくて?」
「違うってば」
「......え?なんで?」
「いちいち理由聞かないで.....恥ずかしいから.....」

伏せ目で自信なさそうにしてる村山を見て、いっそのこと罰ゲームでもいいやと思った。

「俺、村山に対してそういう感情抱いたことないけど」
「それは綺麗系じゃなくて可愛いのが好きだからでしょ?」
「自分で言うな」
「これから頑張って可愛くなるから彼女にして」
「.....あのさ、まじでどういう風の吹き回し?」
「ずっと好きだったの」
「今日ほぼ初めて話すのに?」
「.....話しかける勇気無かったの」

なんだそれ可愛いかよ。

「.....そっか」
「返事は?」
「別に好きな人とか居ないからいいけど」
「ほんと!?.....嬉しい」

両頬を押さえ、ニコニコと照れる村山にドキッとしたからたぶんもう好きだと思う。

「可愛い.....」
「好きになった?」
「いやまだ」
「ニヤニヤしてるよ?」
「え、うそ」
「うそ、笑」
「しょうもな」
「え!待ってよ、一緒に帰ろ」
「走るけどいいの?」
「じゃあ明日から一緒に帰ろ?」
「.....なぁ最後に聞くけど本気なの?」
「本気だってば」
「今ならドッキリでしたって言われても許すけど」
「なんで信じてくれないの?」
「学年1位レベルのやつに突然告白されたら誰でもそうなるわ」
「もう.....めんどくさいなぁこっち向いて」
「なんだy」

村山が背伸びして近づいてきたところまでは覚えてる。

「.....」
「本気って分かってくれた?」
「.....状況が分からず」
「番組始まっちゃうよ?」
「やば」
「また明日ね」
「う、うん」

走りながらさっきのことについて思い出す。

「......え、これやっぱりあとから脅されて金取られるんだろうか」

一方その頃村山は.....。

「うわ〜緊張したぁ.....え、やばいかなぁ.....やりすぎちゃったかなぁ.....え〜.....ちゅうしちゃった」

教室で1人、悶えていた。

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