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後輩が積極的すぎる

【櫻の魔法 〜後輩が積極的すぎる〜「中嶋優月」】
「見てください!」

2人で会議の準備をしていた。

「......なにを?」
「これ!」

耳に髪を掛けて見せてきた。

「どうですか?」
「......なにが?」
「え?大人っぽくないですか?」
「......ん?」
「最近大人っぽくなりたいなって思って練習してるんです」
「......そう思ってる内は子供じゃない?」
「え〜.....」
「資料、開いて」
「はぁ〜い」
「......ピアスしてたんだな」
「うそ?ダメでしたっけ?」
「ううん、イメージとちょっと違ったピアスしてたから」
「え、似合ってないとか....?」
「そんなこと言ってないよ笑」
「良かった〜.....」
「それはそれで似合うんじゃない?」
「好きですか?こういうの」
「普通」
「普通かぁ.....」
「昔、付き合ってた彼女がイヤリングするの好きでね」
「そうなんですね.....」
「お揃いのやつとか付けてたわ」
「へ〜....それこそ意外です」
「そう?」
「先輩って真面目を具現化したような人じゃないですか」
「中嶋が真面目な奴に会って無さすぎる」
「え?笑笑」
「いじってんじゃん」
「そんなことないです笑」
「よし、パソコン一旦消してもいいよ」
「は〜い」
「お昼行く?」
「行きましょ行きましょ!」
「.....当てる?」
「あ!当てます!」
「よし来い」
「......ん〜.....大盛りチキン南蛮!!」
「ハンバーグ」
「え〜....大盛りチキン南蛮食べたそうな顔してるのに....」
「毎回『大盛り』付けて言うけど、俺そんなに食いしん坊だと思われてんの?笑」
「いっぱい食べる人好きですよ!笑」
「ばかにしちゃってんじゃん」
「してないです!笑」
「あ、そういえばこの前のお弁当美味しかった」
「それ3回目です笑」
「言ったっけ?笑」
「そりゃもう嬉しかったんでちゃんと一言一句覚えてます!」
「なんて言った?」
「『中嶋のご飯がこの世で1番美味しい....一生俺のご飯作ってくれ』って」
「覚えてないじゃん」
「覚えてるのはほんとですから!」
「また食べたいなぁ.....」
「え!!」

小走りで俺の前にニヤニヤしながら立ち塞がる。

「.....なに?」
「もう1回言ってください」
「『覚えてないじゃん』?」
「ちーがーう!笑」
「なんか言ったっけ?」
「うわ....白々しい....」
「笑笑」
「なにが1番美味しかったですか?」
「冷凍のエビフライ」
「え!!?なんで分かったんですか!?」
「あのエビフライ好きでいつでも冷凍庫にあるんだよね」
「まじですか?」
「まじです」
「せっかく手作りに見せたのに.....」
「ちっちっちっ....舐めてもらっちゃ困りますよ」
「でも他のはほんとに作りましたからね?」
「疑ってないよ笑」
「ちなみになにが1番美味しかったですか?」
「ちくわきゅうり」
「詰めるだけ!!!笑」
「うそうそ笑  肉じゃが美味しかったよ」
「ほんとですか!!」
「たくさん勉強したんだね」
「せんぱぁい......」
「次いつ作ってくれるの?」
「え!それってもしかして付き合っ.....!」
「いや、それとこれとは別ね」
「え〜.....いじわる.....」
「笑笑」
「もういいじゃないですか!彼女にしてください!」
「やだよ面倒くさそうだし」
「そんなことないです!」
「すぐ『仕事と私どっちが大事なの?』とか言ってきそう」
「言いません!笑」
「あとちゃんと恥ずかしい方の愛妻弁当作ってきそう」
「それはいいじゃないですか!」
「ほら笑笑」
「も〜.....笑」
「次のお弁当それにしちゃいますから!」
「勘弁してくれ.....笑」

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