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レモンとブルーハワイ

【櫻の魔法 〜レモンとブルーハワイ〜「村井優」】
「ねぇねぇ○○くんの1口貰ってもいい?」

林間学校の最終日の自由時間、勇気を出して村井を誘ったら快くOKしてくれた。

「うん、いいよ」
「.....ん!美味しい!○○くんも食べる?」
「うん、ありがと」
「はい、あ〜....」
「!!?」
「ん?いらないの?」
「え、あ、いやありがとう.....」
「うん!......美味しい?」

上目遣いで口を少し開けて不思議そうにこっちを見てくる。

「.....ん!美味い」
「良かった〜😊」

ちょうど僕らが座ってるベンチから海辺が見えた。

「みんなはしゃいでるね〜」
「そうだね.....」
「そういえばどうして○○くん、私を誘ってくれたの?」
「ごほっ!ごほっ!」
「えぇ!?大丈夫!?ティッシュティッシュ.....」
「ごめん、大丈夫.....」
「はい.....ねぇここ付いてるよ」

村井は自分の頬を指さしてこっちを見ていた。

「.....え?どこ?」
「わかんないの?笑  もう笑」

笑いながらほっぺをツンと指された。

「頬の感覚ないの?笑」
「あるよ.....笑」
「で?」
「なにが?」
「どうして誘ったの?」

少し溶けた自分のかき氷をかき混ぜながら話す。

「どうしてって.....村井と回りたかったから」
「......そっか」

いたる所から蝉の声が聞こえる。

「私ね」
「うん....?」
「好きな人居るんだぁ」
「.......え」
「その人ね、全然私の気持ちに気づいてくれなくてね」
「.......」
「せっかく誘われたのにこのままじゃ何も起きずに終わっちゃいそう」
「え.......」
「○○くんはそういう時どうする?」
「どうって.......」

かき氷を口に運んだまま、こちらをまっすぐ見つめる。

「あの.....さ」
「なに〜?」
「.....付き合ってください」

村井は少し目を開いて驚いたあと、前を向いて笑っていた。

「.....なんで笑ってんの?笑」
「笑ってないよ笑」
「笑ってんじゃん笑」
「なんでもない!笑」
「......その.....答えは?」
「......教えてあげない」
「え?」
「残りのかき氷私より早く食べたら教えてあげるね」

ちょうど同じくらいの量。

「.....分かった」
「容赦なく行くよ?」
「え?うん」
「よーいドン!」

勢いよく食べたため互いに頭を押さえる。

「.....よし!いける!」
「.....○○くん」
「なn」

.......な....なにが起き.....た?

「いぇ〜い....私の勝ち〜....」
「.....え?」

なんとなくボクは自分の唇を押さえていて、気づいたら村井のかき氷は全部無くなっていた。

「.....負けたらダメじゃん」
「いや........え?」
「伝えたかったのにな.....」

何が起きたのか整理出来なかったのはかき氷で頭が痛かったせいか、暑さのせいか。

「.....ばーか」

また頬を指された。

「さっきのって......」
「答えないよ、負けたでしょ?」
「そうだけど......」
「.....答えないけどもう分かったでしょ?」
「うん.....」
「あ!ねぇ!最後、海まで競走しよ!」
「え?また?」
「じゃあこれに勝ったらちゃんと伝えるね」
「....ほんとに?」
「うん」
「よし!」
「ドン!」
「え、ちょっとまだかき氷」
「また負けちゃうよ〜笑笑」
「待ってよ!」

かき氷は完全に溶けていた。

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