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頬に付いた朱

【櫻の魔法 〜朱痕〜「村山美羽」】
「美羽、それなに?」
「これ?新しいリップ」
「え、これリップなん?」
「うん」
「へ〜面白いね」
「そう?」
「今からリップすんの?」
「うん付けてみたいじゃん」
「やってみてもいい?」
「なんで?笑」
「いやなんとなく」
「いいよやってみても」
「.....ん?これどうやって塗るの?」
「貸して」
「はい」
「ここ開けてあと塗るだけ」
「え?これマスカラじゃなくて?」
「うん....ん?」
「いやなんかよく見るクルクル回してやるやつじゃないんだと思って」
「あぁあのタイプもあるけど私はこっちの方が好きなんだよね」
「へぇ〜これもリップなんだ......」
「うん....早く塗って笑」
「あぁごめん」
「......」
「......いや見られてたら恥ずかしいよ笑」
「なんで笑」
「目瞑ってよ」
「キスしようとしてる?」
「してない笑」
「しないの?」
「しないとは言ってない......」
「......」

目の前でゆっくり目を閉じる美羽をほっとけられなかった。

「.....早く塗って」
「.....可愛い色だね」
「○○も塗る?」
「いや僕は....」

頬に手を添えられ、僕の口は綺麗な朱に染まった

「.....あははは笑」

.....はずだった。

「なに?笑」
「あの人みたいになってる笑」
「鏡貸して笑」
「なんだっけあの」
「うわっ...ジョーカー?笑」
「そうそう笑笑」
「も〜.....」
「いいじゃん可愛いよ笑」
「どこがだよ笑」
「あ、ねぇねぇやりたいことあるんだけど」
「なに?」
「ちょっと動かんでや?」
「うん.....?」

僕の膝の上に乗ってきた美羽は、僕の頬に綺麗な痕を付けた。

「え〜すご....」
「すご....こんな綺麗に付くんだ」
「ねぇもっといっぱい付けていい?」
「ちゃんと落ちるよね?」
「え?落とすの?」
「そりゃそうでしょ」
「取っちゃやだ」
「最近美羽の独占欲凄いよね」
「そんなことないよ」
「......前まで嫌がってたのに」
「そんなことないよ」
「......」
「あ〜もう私のほっぺにも付いちゃったじゃん」
「あとで落としてあげるよ」

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