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ビリー・アイリッシュのニューアルバム HIT ME HARD AND SOFT 全曲適当レビュー

早いものでサードアルバム。サウンドはだいたい前作と同じ路線、ギターとドラムはよりロック色を増し、トラップビートは排除された。ボーカルが良い意味でも悪い意味でも普通っぽくなったのはより歌心が増したからか。アルバム未収録のシングルや映画に提供された曲はアレンジに頼らない純粋なシンガーとして評価もされているのだし。

ボーカルを含めたギミック的な音の処理は尖鋭性と遊び心があってヘッドフォンで聴くとより楽しい。(スマホのスピーカーで流してるだけでは到底全部は聴き取れない)

今作も全曲シングル向きといえるほど1曲1曲の質が高く、人によって好きな曲が異なりそう。前作よりも曲数が少ないのでサクっと聴けるのもいい。まだ22歳。兄も26歳。これからも楽しみな兄妹だ。

SKINNY

ギターとストリングスが主軸の柔らかな楽曲。うん、悪かないけど、全曲こんな調子だったら嫌だなあ、あまりにも普通すぎるぞ……

おや、56秒くらいのところで低音が割れてないかい? spotifyじゃなくてyoutubeで聴いたらそうでもないな……小さい音のスネアがちょっと重なって聴こえるくらい。

LUNCH

おおよかった。こういうのが聴きたかった。これぞビリーアイリッシュな歌メロ。ベースとギターに様々な処理をしているのがちょっと2005年以降のナインインチネイルズっぽい。

CHIHIRO

やっぱ千と千尋の神隠しから拝借したタイトルだろうか? 楽曲はライトなディスコっぽい雰囲気。今年リリースしたアーティストの楽曲にやたら90年代風のトランスリードが使われているんだけど、これはもう確実に流行ってるんだろうな。EDMみたいな音圧がないので耳にも優しい。

BIRDS OF A FEATHER

2010年代に世界にばら撒かれたインディロック風の楽曲。かなり80年代っぽい。ポップだなあ。ハイが削られたリズムマシン系のシンプルなリズムもいい。

WILDFLOWER

アコギ引き語りっぽい出だし。ボーカルのリバーブはかなり深め。2分くらいからリズムが追加される。声はかなり重ねているか、WAVESのharmonyを使ってそうだけど、そのほかに何パターンか歌ったものを編集もしている感じ。


THE GREATEST

これも全曲と同じタイプかな。引き語りっぽいギターにボーカルを複数重ねるスタイルで始まる。ギターのパンニング処理が面白い。オートメーションを書いているのか、PAN系のエフェクトを使ってるのか。2番以降は音がさらに重なり……おお、リズムもギターも入ってクイーンっぽいな。大仰だ。

L’AMOUR DE MA VIE

これもリズムレスから始まる。オルガン、パーカッション、コーラスの処理が面白いなあ。曲調のためか、エイミー・ワインハウスっぽい。ん、おお、また後半から曲が変わった。80年代と2010年代初頭のEDMの融合みたいになっている。こりゃライブ映えしそう。

THE DINER

トーチソング風の哀愁ダダ漏れな出だしから超好み。昔のベースメントジャックスにこんな曲があったっけ。声はかなりローをカットして1stにあった細さがある。

BITTERSUITE

イントロのド派手なシンセが終わったらCoucou Chloeというか、Nuxxeのレーベルっぽい空気感に変化。ひょっとしたらこのイントロいらないのでは? またしてもサビは今作の特徴である大仰なもの。2番からはまた雰囲気が変わる。このプラックとマレットの中間っぽい音はOmnisphereかな? 

BLUE

最後の曲だから静かに終わるのかと思いきや、もうリズムと歌が始まった瞬間からこりゃいいやってなる。ビリーらしいキャッチーさがある。口ずさみやすいウーウーというフックは気がついたら頭のなかで再生されそう。

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