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記事一覧

生誕祭 - 馳星周 第130回直木賞候補作

バブル期を舞台にした成金たちの狂騒と騙しあい。鬱屈した日々を送るディスコの黒服(21歳男)…

桜正月
2日前

独りぼっちの主役が好きな人へ - ブッチャーボーイ - パトリック・マッケイブ著 矢口…

1960年代のアイルランドを舞台にした青春小説。語り手であるオッサンが10代前半当時の自分にな…

桜正月
4日前

凶悪―ある死刑囚の告発―「新潮45」編集部

死の錬金術師 VS 大前田の殺し屋 ! 死刑判決を受けたヤクザの元組長が、復讐のために共犯者…

桜正月
6日前
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サッカーの応援はセックスの代用品である - フーリガン戦記 - ビル・ビュフォード

フーリガンが激しく暴れまくっていた時代、マンチェスターユナイテッド等の非公認ファンクラブ…

桜正月
6日前

贖罪 ナチス副総統ルドルフ・ヘスの戦争 - 吉田 喜重

これはなんとも奇妙な本だ。ルドルフ・ヘスの数奇極まる人生の前半を年表の如くこと細かに並び…

桜正月
9日前

M.チクセントミハイ - フロー体験入門―楽しみと創造の心理学

何の本だったか、集中力がない人はいないと読んだことがある。筆者曰く、怠惰な人でも漫画やゲ…

桜正月
11日前
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時計仕掛けのオレンジ[完全版] - アンソニー・バージェス

久々に読んだ。通常版とあわせて四回目かな? キューブリックのスタイリッシュな映画も超好きで、繰り返し繰り返し観たものだけど、よりブラックで物語に沈溺できる小説も味わい深くて素敵だ。何より、原作の主人公アレックスが読み手に話しかけてくる軽妙な語り口は、裏切りや拷問といった血生臭い場面であってもトーンが変わらず、陰惨すぎないのがポップなのだ。ライ麦が好きな人ならきっと本も気に入るだろう。 概ね映画と同じスジだけど、この完全版には映画と通常版からは抹消されていたオリジナルのラス

神は銃弾 - ボストン・テラン

かなり久しぶりに再読。カッコ良すぎるタイトルに惹かれて買ったんだっけ。 元妻を殺され、娘…

桜正月
1か月前

黒人を普通にニガーと呼んでいた頃の古き良き物語 - ハックルベリー・フィンの冒険 マ…

トムソーヤの相棒のホームレス少年。アニメしか知らなければハックのイメージはこんなものだろ…

桜正月
1か月前

新版 家族喰い 尼崎連続変死事件の真相 小野一光

教祖タイプの凶悪なババアの欲望と悪意によってたくさんの人が不幸になった事件。北九州監禁殺…

桜正月
3年前
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サイコパス日本代表松永太 - 消された一家―北九州・連続監禁殺人事件 - 豊田正義

もっともわけのわからない犯罪者の一人が北九州連続監禁事件の主犯、松永太だ。7名の犠牲者が…

桜正月
3年前
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埼玉愛犬家連続殺人事件 - 共犯者 - 山崎永幸

事件の共犯者であるブルドッグのブリーダーの男が書いた手記。彼が4件の殺人に関わったのにわ…

桜正月
3年前

小説 赤い髪の女 - ヤン・ウォルカーズ

これはきわめて個人的な意見なんだがね、小説をよく読む人間は二種類いると思うんだよ。習慣や…

桜正月
3年前
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元少年A 酒鬼薔薇聖斗の告白本 - 絶歌 神戸連続児童殺傷事件

日本の90's犯罪界きってのスターによるエッセイ。読んだ感想は、巧妙なところや戦略・作為的な部分はあれど元少年Aはサイコパスというよりもダウナーな性的倒錯者ではないか、また過去の過ちを本気で反省している可能性が高い、ということ。 血も涙もない本物のモンスターであればコンクリートの鬼畜よろしくとっくに再犯で捕まってるはずだが、自由になって十数年が過ぎた2021年現在もその手のニュースが聞こえてこないのは本人なりの努力の結果ではなかろうか。ただし、この先微罪でも不可抗力でも逮捕