和声法⑸〜属九の和音
今回は属九の和音について勉強します。
この回を乗り越えると、和声Ⅰ巻(赤色の本)の内容を修了したことになります。
参考文献はこちらです。
タイトル画像は、19世紀フランスの作曲家セザール・フランクの《♪ヴァイオリンソナタイ長調》です。
冒頭から属九の和音が使われているので、和音のイメージをつかむためにも聴いてみましょう。
属九の和音
属九の和音はドミナント和音の一種です。
名前のとおり、Ⅴ度和音や属七の和音の仲間で、
根音より9度上の音を追加で重ねています。
よってコードネームは、G9と表記されます。
(Gadd9の場合は、7thの音がありません。)
現代のポピュラー理論では、ダイアトニックコードのどの和音にもテンションとして9度の音を付加することができますが、ロマン派までのクラシックでは、単独での使用は、属和音に限られていました。
和音を聴いた感じは、長調の場合、どことなく浮遊感のある響きになります。
長調の属九はロマン派の頃から使われはじめました。
シューマンの幻想曲や、フランクのヴァイオリンソナタといった曲の冒頭で、属九の和音が印象的な効果を出しています。
短調の属九の場合は、もっと深刻な、現実味のある響きになります。
ベートーヴェンの楽曲にもよく登場します。
ピアノ協奏曲第3番第3楽章、などが好例です。
📍基本情報
📍配置
構成音を配置するときは、気をつけることが2つあります。
長調(メイジャー)は「ソシラ」、
短調(マイナー)は「ソラ♭」の位置関係が固定されているということですね。
📍連結→
属七の和音と同様、新しく登場した第9音(ラ)は限定進行音となります。
第3音、第7音も限定進行音でしたね。
いつもどおり「シ→ド」「ファ→ミ」と進ませます。
『シドファミラソ』と呪文のように覚えましょう!
📍→連結
つづいては根音省略形です。
属九の根省
属九の和音は、基本形よりも根音省略形の方がよく使われます。
根音省略形とは、属七の和音にも出てきましたが、根音(ルート音)をはぶいた和音のことです。
構成音は、ハ長調(Cメジャー)の場合、根音(ルート音)の「ソ」を省略するので、「シレファラ」(Bm7-5)となります。
ハ短調(Cマイナー)の場合、「シ♮レファラ♭」(Bdim)となるため、減七の和音です。
(要するにⅦ度の和音なのですが、芸大和声ではⅦ度の和音を属九の根音省略形として理論づけしているということです。)
減七の和音は、悲劇的な響きがすると例えられます。
減5度音程(トライトーン)を2つも含むため、属七よりも不安定なドミナント和音といえます。
また後述するように配置が自由なこともあり、クラシック音楽では頻繁に使われます。
📍基本情報
📍配置
★実習課題では、最適配置になるための配分転換は積極的に行い、曲調に変化をつけましょう。
大胆に配分変換しても大丈夫です。
📍連結→
普通の属九と同じで、限定進行音を正しく進ませます(『シドファミラソ』)。
また、時々でてくる下記のような例外的な進行があるので、余裕があれば覚えておくと得です。
和音設定(バス定型)
属九の和音は、基本形は「ソ→ド」のときのみ使います。
(ただ和声課題では出番は多くなく、曲の真ん中などで半終止が起きている場合は、属七の和音を使う方がよいでしょう。)
属九根省のバス定型には、以下の3パターンがあります。
実践!
今回の課題はこちらです。
(洗足オンラインスクール 『和声の祭典』和声課題集Ⅱ 第2部 属九の和音 課題14の1番です。)
この課題では、属九の和音を3個以上使わないと減点されてしまうので、
初めにバス定型の部分を探しておきましょう。
❶バス《ド→ソ→ド→レ→ミ》
機能《T → D→ T→ D→ T》
❷バス《(ミ)→ファ→ファ→ミ》
機能《 ( T )→ S → D → T》
❸バス《(ミ)→レ→シ→ド→ファ→ソ→ソ→ド》
機能《(T) →S→ D→ T→S→ D→ T》
別解答
今回は、前半部分に少し悩んでしまったので、配置が良くなかったかもしれないと思い、別の配置でもスタートさせてみました。
最後まで読んでくださり、ありがとうございます!
さくら舞🌸
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