金融庁さんの立ち位置に対する違和感

ビッグモーターの事案を頑張ってボヤっと整理してみます。


損保ジャパンさんとビッグモーターさんの違法性

損保ジャパンさんとビッグモーターさんは、何か違法なことをしたかどうかは、まだ明らかになっていないようです。
しかし、両社が健全とはいえない関係にあったことは事実のように思います。
まだ調査中のようですが、今のところ明確な違法性はなさそうです。

監督官庁である金融庁さんの立ち位置

自動車修理工場に損保代理店の営業が許可され続けていた実態から得るべき示唆があまり報道されていない気がします。
このような実態を是とし続けてきたのは、損保ジャパンさんでもなく、もちろんビッグモーターさんでもなく、監督官庁の金融庁さんではないかと思います。
一方で、金融庁さんは、上場会社に対してコーポレートガバナンスによる企業統治の強化を進めてきていました。
いま、金融庁さんが監督官庁の権限で損保ジャパンさんを調査しようとしているようですが、保険業界でこのガバナンスを伝統的に認めてきた金融庁さんもなんかおかしい気がします。

金融庁さんの監督不行き届にはならないの?

あくまで推測ですが、損保ジャパンさんとビッグモーターさんの関係が、保険契約者さんにとって不利益になる可能性があったことは明らかであり、この関係を金融庁さんが把握していなかったことは、監督不行き届と言える気がします。
金融庁さんは、保険会社やその他の金融機関の業界を許認可事業にして、彼らが公正かつ健全な金融取引を行うよう監督する役割を担っています。
そのため、金融庁さんは、損保ジャパンさんとビッグモーターさんの関係を把握し、この関係が保険契約者さんにとって不利益にならないように監督するべきだったように思います。

自動車修理工場が損保代理店を営業できることの問題

自動車修理工場が損保代理店を営業できることに、客観性や独立性の問題はないのかボヤっと考えてみました。
客観性
そもそも、自動車修理工場は、損害が発生した場合に修理を行うことが主な業務です。
そのため、損害の程度や修理費用を客観的に判断することが求められます。
しかし、損保会社と自動車修理工場が密接な関係にある場合、自動車修理工場が損害の程度や修理費用を過大に評価することができる状態にあります。この状態は、損害保険契約者にとって不利益になる可能性があります。
独立性
損保会社は、保険契約者に対して公正に保険サービスを提供する義務があります。
しかし、損保会社と自動車修理工場が密接な関係にある場合、損保会社が自動車修理工場を優遇することができます。
これは、保険契約者にとって不公平になる可能性があります。
透明性
損保会社と損保代理店をしている自動車修理工場との関係性は、保険契約者さんにとってとても重要な情報でした。
しかし、損保会社は、このような自動車修理工場との関係性について特に公表していませんでしたので、保険契約者さんは、その関係性を把握することができませんでした。
これは、保険契約者さんにとって不透明な状況を招く可能性があります。

このように、損保会社が自動車修理工場が損保代理店を営業できたことは、客観性や独立性、透明性といったガバナンス上の問題があったと考えられます。

なぜ、問題視されなかったの?

ビッグモーターの事案が顕在化する前に、損保会社が自動車修理工場と密接な関係にあることについて、特段問題視されることはありませんでした。
その理由をいくつか推測してみます。

  • 損保会社と自動車修理工場の関係は、長年にわたって行われてきた慣行だったため、だれも問題視しなかった。

  • 損保会社と自動車修理工場の関係は、保険契約者さんにとって不利益になる可能性がありましたが、その影響が直接的でないうえ、保険更新の事務手続が簡単に済ませられるよさもあって、保険契約者さんも問題視しなかった。

  • 損保会社と自動車修理工場の関係は、法律や規制で明確に規定していないので、問題視しづらく、また問題視されても取り締まりにくい状況だった。

ただ、今回のビッグモーターの事案は、いままでの損保会社と自動車修理工場の関係とそれを許容していた金融庁の姿勢が、保険契約者さんにとって大きな不利益をもたらしたことを明らかにしたと思います。

まとめ

これらはあくまでも推測です。
ただ、これらのことは業界の中では、最初からわかっていたことかもしれませんが、その重要性はだれにも認識されていなかったのでしょう。
今回のビッグモーターさんの事案は、損保会社と自動車修理工場との関係が、保険契約者さんにとって大きな不利益をもたらす可能性があることを明らかにしたと思います。
保守的、伝統的なコーポレートガバナンスやコンプライアンスの限界を考えさせられました。

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