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あの子今どうしてる?

メッセージの最後におまけのように書かれていた「レーコさんが読みたい」という不意打ちにドキリとした。はるか彼方にこっそりと置き去りにしてきた「誰か」の行方を尋ねられたような、「殺して埋めた場所、知ってるよ」と言われたくらいの衝撃だった(大袈裟)。

「レーコさんとアタシ」という話をブログに載せ始めたのは2004年頃だ。「アタシ」は夜店の「金魚すくい」ですくわれてきた金魚で、そのアタシから見た飼い主のレーコさんの日常を綴った、いわゆる恋愛小説だった。たぶん、20以上の短いエピソードを書いたはずだけど、話はまだ終わっていない。ちょっと前までは、まとめてweb上に置いていたのに、なんだか不安になって、今は誰も閲覧できないところに埋めてしまった。

それを読みたいというその方は、2,3年前に読んでくれたのだと思う。

「レーコさん」という、自分でも忘れかけていたワードに触発され、続きを書いてみようかと5秒くらい考えた。でも、大事にしていた作品だったからこそ、引っ張り出して読み返すのが怖い。今さら恋愛小説というのも、ちとむず痒い。

思えば、携帯といえばガラケーの時代だった。スマホのスの字もなく、ガラケーという言葉も一般的じゃなかった。レーコさんが携帯をビニールプールに放る場面があったけれど、スマホじゃ、イメージが違う。他にも時代が違うことがありそうだ。

レーコさん、どうしているんだろう。好きな人を諦めきれずにうだうだしているのを「アタシ」は嘆いたよなぁ……。

あの後、私はあの話をどう続けるつもりでいたんだっけ…どうして更新が止まっちゃったんだっけ…(といいながら、思い出そうとはしていない)
お話の中でも、私の中でも、レーコさんは宙ぶらりんのままだ。

そしてごめん。また忘れてしまうかもしれない。