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健康診断

健康診断の中でも問診は、当たった先生によるところも大きいけれど、一番気楽と言えば気楽なパートだ。特に気になることもなければ、はい、はい、で終わる。

今日の先生はなんだか可愛いライオンのぬいぐるみ(小)みたいな方で、入室して「よろしくお願いします」と言ったら、「いえいえ、こちらこそ、よろしいんですよ、そんな」みたいな、ちょっと「?」な返答をされて、でも、応えてくれるのはそれだけで気持ちのいいものだ。たいていは、「はい、おかけください」だもの。

過去にかかった病気のことにも、初めて触れられた。いつも一応問診票に書いても、今まで何も言われたことがない。べつにそれで、何とも思っていなかったけれど…

「ITPは出産後に?」「いいえ、急に…」「自然に治りましたか?」「いいえ、ピロリ菌を除去して」「そうでしたか。そういうことってあるんですよね。治ってよかったですね」「はい!」

じーんとした。
「治ってよかったですね」
その言葉が、思いがけず嬉しかった。

もちろん、当時かかっていた血液外来のお医者さんにもそう言われたけど、なんだろう、今言われる「よかったですね」はまた、違うんだ。

ITP(特発性血小板減少性紫斑病)は国指定の難病だ。健康診断でたまたま血小板がものすごく少ないことが分かって、いろいろ検査もして、申請するための書類ももらって、本当に、青天の霹靂という感じだった。

理由は分からないけれど「ピロリ菌を除去すると治る人もいる」ということで、検査してみたらちゃんと私の胃袋にピロリが居られまして、…で、退去いただいたら、徐々に血小板が復活していって治ったのだ。

ほとんど忘れていたけれど、あの時の自分は、そういえば辛かったんだ。精神的にずーーんと落ち込む事があってから、の病気だったから、何より健康が一番大事。自分を責めちゃダメなんだと身をもって知った出来事だった。

「治ってよかったですね」

そうなのよ、よかったのよ!
治ってよかったねと、あの時の私にもう一度伝えよう。