#05 髪飾り

お母さんが花の髪飾りを作ってくれた。

私の大学の卒業式用に用意してくれたもので、既製品のお花をヘアピンの台座にくっつけた形になっている。クリーム色と、ピンク色の二つ。

思い返せば大学五年間、両親には本当にお世話になった。
経済的に苦しいから地元の大学に進学してほしいと言われていたにも関わらず、遠くの大学に通い始めた私をずっと支えてくれた。
部活の人間関係で悩んでいるとき、バイトに疲れたとき、楽しいことがあったとき、悲しいことがあったとき、真剣な相談があったとき、
両親、特に母はいつも電話に出てくれた。
三人きょうだいの末っ子として生まれた私は、そんな家族からの愛にちゃっかり甘えつつ、
大学五年間いろんな場所・場面で学び続けた。本当に楽しかった。

卒業式当日なかなか一緒にいる時間がなさそうということで、両親が式に参加しないことは決まっていたのだけれど、
母はショッピングモールに行ったついでに、と言ってきれいな髪飾りを買ってきてくれた。
でもその髪飾りの何かが気に入らなかったらしく(笑)、
手芸屋さんで既製品のお花とヘアピンを買ってきて、せっせと手作りの髪飾りを作ってくれた。
お母さんは二つの髪飾りを渡してきて、「どっちが似合うかな~」なんて言ってた。気に入らなかったから、手作りしたんだよって感じで。

でも私はそれがすっごくうれしくて、
お母さんたちと一緒に卒業式に出席できるような、そんな気持ちになって。

大学生活最後に、最高のプレゼントをありがとう。
幸せな門出を迎えられそうです。



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