BFC4落選展感想 76 - 80

 ちからつきました。
 既存の落選展リストの記載方法を頂戴します。ありがとうプロムナードさん。
 リストに載ってる作品に対して感想を書いていきます。
 本稿はその性質上、ふんだんにネタバレを含みます。ですので、まずは落選展作品の内容をよく読んでから目を通していただけるとうれしいです。それが作者の方々のためにもなると思いますので。




76.じゅーり「トマちゃん

 釣られたなポッター。(削除済み作品)

77.バグ「幸せの価値

 よくあるショートショートだ。小道具の出し方、ロケーションハンティング、登場人物に付与された属性。ただ、よくある筋立てからとんでもない数字のでかさの成功を手に入れている主人公がやばい。そして、だからラストにある文章の皮肉が強烈に感じる。もしも、という未来を想像した時、主人公はきっと愕然としたことだろう。
 よくできている。読み物としておもしろい。そして、だからこそレーベルカラーに合っていないという印象を受ける。BFCのやろうが考えていることが見えたような錯覚。こういう作品が書けるならもっとでかい世界に漕ぎ出していった方がいい。

78.水嶋いみず「自浄魂2

 死と椎茸から物語が始まり、死の方向に向かっていくのだがUターンして戻って来る。この話はどこかで致命的な脱線をして彼岸にいってしまいそうになった主人公が、母親の作ってくれた料理のことを思い出して此岸に引き戻されるという物語が幻想小説という側によっておおわれている作品だといえる。また幻想小説か。みんな幻想小説好きね。大渋滞。
 題名にある通りかどうかは別として、記憶を使って自力で此岸に戻ってくる主人公というのは人間の強さを描いているといっていいのかもな。でもそういう筋立ての小説はよくある。これはそれを変奏しただけということもできる。厳しめの意見になるのは落選展の終盤に出したせいだ。読む順番は読書体験に致命的な影響を与える。

79.竹花一乃「才能狩り

 インフルエンサーが絶頂を極めたのちに慢心から失敗し、今度はインフルエンサーに紹介される側に落ちるさまが描かれている。展開が綺麗だ。美しいとまで感じた。いい作品じゃないか。切れ味のあるショートショートがこのあたりに集中してるのもなにかの因縁めいたものを感じるな。
 だが綺麗すぎるし、展開が予定調和的だ。読み終わったあとすっきりすると共に「ですよねー」となる。読んで損はないだけに、ここにいるべきではないという感想になるな。出来のいいショートショートはみな一様にそのような感想の中におさめられていく。

80.乘金顕斗「僕たちの初恋

 どっかの誰かの初恋の人が死んだという話から、どっかの誰かの代わりに自分が死んだらという仮定の話が展開され、そして最終的には物語を書くということについてメタフィクショナルな着地をする。
 掌編でこういう話をすると、掌編とエッセイの間をいったりきたりして半端なものになりやすい。NOBODYなLOVERを中心に話を進めている時点でこの話がメタ構造を意識させていることに気づくべきだったな。物を語るということを語るのは超絶難しい。この枚数でやり通せたら、あんた文芸を知ってるってことになる。そうでないということは、私と一緒でまだ文芸のことがよくわかってないってことかもしれんぜ。


 本稿は以上です。
 お読みいただきましてありがとうございました。

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