BFC4落選展感想 81 - 83

 現時点のファイナルがここだ。
 既存の落選展リストの記載方法を頂戴します。ありがとうプロムナードさん。
 リストに載ってる作品に対して感想を書いていきます。
 本稿はその性質上、ふんだんにネタバレを含みます。ですので、まずは落選展作品の内容をよく読んでから目を通していただけるとうれしいです。それが作者の方々のためにもなると思いますので。




81.柚木呂高「散るゆえによりて

 文章表現凝りすぎ侍による百合文芸が飛び出してきた。偏見です。
 中枢UXがマジで百合のためにだけあるからそれだけでいいよね。こういうのって耽美系に放り込んでいいと思うんだよ。オノコハサムナ・ガチユリスキからは怒られると思うけど、美に耽ることができる時間というのはそれだけで尊いものだ。だからこれ以上、私は余計なことをいわない。難しすぎるのはいっそ瑕疵というより守護結界だ。
 この作品はいま美しい。
 

82.木口まこと「インプロヴィゼーション1

 これはイグの方と同じ手法で作られているけど、人間に伝えようとする意志が存在しているからよかったね。つまりひとつの演奏をしようとしているときに存在する長い(実時間としては短い)高揚するひとときを文章で表現しようとしているわけだ。ま、文芸しようとして文芸しているだけの作品だから、やりたいことも表現したいこともよくわかるが、冒険心はあまりないな。同じようなことを考えるものは他にもいて、この作品はその効果を失敗しない範疇で演奏してみせただけだ。だから芸術家がいのちとときを削って作り出したような迫りくる音の波のごときものは存在しない。
 よくできているということが美しいということではないことを教えてくれる意味でも、これはイグと対照的というのがすごいな。悪いことはいわないから、もうイグろうとしてイグるのはやめてね。

83.持野キナ子「pray

 人見知りの主人公がカフェでアルバイトする。そこでひとりの少女と交流する。ラストシーンで机上に置かれた手紙を読むシーンがこの作品のハイライト。
 自分の仕事が、他人へ前に進むという勇気を与えるということ。この作品自体にはまだまだ伸びしろがたくさんあると感じるが、この作品が落選展の最後に投稿されていること自体に運命があるだろう。

 おまえの仕事は誰かに勇気を与えているか?
 読書をするとき、ひとは作品に試される。だが作品もまた読者に試されているのだ。そういうごく当たり前のことをまっすぐに伝えてくる作品には、愛情をもって接していきたい。勇なき一般読者はそう願って生きている。


 本稿は以上です。
 お読みいただきましてありがとうございました。

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