【スタートアップ!占い師】#27 SNSのDMから鑑定依頼をもらっても大丈夫なのか①特定商取引法について
帳簿のことを学び、プロ占い師としてレベルアップしたさくらさん。
占い師のSNSで多くみかける「仕事依頼はDMから」という文言をみて、何やら疑問をもったようです。
私も最近はSNS経由で仕事をもらうことが多いため、予約フォームと並行してSNSのDMも窓口として利用しています。しかし、このDMで直接お客さんから鑑定の依頼を受けるために、予め法に則った提示を行っていないと実はNGだということを知らない人が多いのではないでしょうか。
SNSで鑑定依頼をもらうとき、また、SNSで占いグッズを売るときにどういったことを行えばいいのでしょうか。
今回も非常に大事な回なので、無料記事にしています。
ネットでお客さんと鑑定の予約や取引をするのにもルールがある
最初に答えを言ってしまうのですが、SNSに限らず、自分のホームページやLP(ランディングページといいます。1枚のページで、自分の仕事内容や販売したいものをまとめたものをいいます。サイトのホーム画面にすべての情報を詰め込んだイメージです)、ネットストア・ECサイト等でお客さんから占い鑑定の依頼をもらう場合、「特定商取引法に基づく表記」を掲示していないといけません。
これは「特定商取引法」という法律で決まっていることなのです。どこかの通販サイトで見たことがある方もいるのではないでしょうか。
上記の特定商取引法の「通信販売」に、「事業者が新聞、雑誌、インターネット等で広告し、郵便、電話等の通信手段により申込みを受ける取引」とあります。
今回のことにあてはめると、「新聞、雑誌、インターネット等」は「サイト、LP、SNS」、「郵便で、電話等の通信手段」は「メールや予約フォーム、DM」、「申し込みを受ける取引」は「鑑定依頼や予約」ととれますよね。
SNSやページで自分の占い鑑定を広告・宣伝し、鑑定のお仕事をもらうことは、インターネット上で占いサービスを販売する行為にあたり、特定商取引法上の「通信販売」に該当するのです。
(ちなみに「これさえ受ければ、あなたもプロの占い師として収入を得られる!」みたいな、占い講座の動画販売やコンテンツ販売などは、「業務提供誘引販売取引」に該当します。noteでの情報商材販売はこれですよね)
ですので、鑑定依頼や予約の窓口となっているSNSやページには、「特定商取引法に基づく表記」を記載しておく必要があるのです。
特定商取引法とは?
特定商取引法とは、どういった法律なのでしょうか。
特定商取引法ガイドには、
とあります。
有形であれ無形であれ、直であれネットであれ、悪質なやり方でモノを売る事業者はどこにでも存在します。そんな事業者から消費者として身を守るため、また、悪質な方法で販売させないためにするためにこの法律はあるのです。
特定商取引法には「行政規制」と「民事ルール」があります。
全部書くとそれだけで長くなってしまうので、詳細はガイドを御覧ください。
特定商取引法、やっていいこと・やらないといけないこと・やってはダメなこと
行政規制や民事ルールを踏まえて、ネットやSNSで鑑定予約や取引をする際にやっていいこと・やらないといけないこと・やってはダメなことをまとめてみました。
ネットサイト、LP、SNSなどで鑑定依頼や取引を直接受ける
→そのページでやり取りを行うなら、特定商取引法に基づく表記が必要。
自分の名前も住所も公表するのは無理。だから表記を載せない
→名前や住所は省略してもOK。でも、絶対載せないといけないものもある。
絶対に載せないといけないのは
・販売価格
・販売するものの内容
・送料(あれば)
・申込みの期間に関する定めがあるときは、その旨及びその内容
……メール鑑定の結果の引き渡し時期など
・返品に関する事項(返品の可否・返品の期間等条件、返品の送料負担の有無)
・契約を2回以上継続して締結する場合の販売条件又は提供条件
……占いサブスクや占い講座を行う人の場合
・販売数量の制限等特別の販売条件(提供条件)があるときは、その内容
……「何人まで」といった人数制限を設ける占いを行う場合
・請求により交付する書面又は提供する電磁的記録が有料のときは、その価格
・(電子メールで広告するときは)電子メールアドレス
……メールマガジンなどで自分のサービスを広告・宣伝するときに使用するアドレス
の9点。
鑑定を前払い制で受けている場合は、代金の支払い時期も表記が必要。
名前や住所などの情報を省略したとしても
・「消費者が情報開示を求めてきたらすぐに教えるよ」ということを広告に書かなければいけない
・でもって、求められたらすぐに書面などで開示しなければいけない
……とあります。これも、消費者が「やりたいな、どうしようかな」と悩んでいる間、「よしやろう!」と予約や購入を決定するまでに提示できないといけません(オークションや期間限定販売の締め切りギリギリ、といった場合は難しいよね、というのも上記のガイドに掲載しています)。
情報を見せるのが嫌だからと、予約完了や購入までの考える時間を与えないようにしたり、「早く予約して(購入して)!」と急かしたりするのはダメですよ。
捨てアカを使って仕事の取引を行う
表記に捨てアドレス・捨て電話番号、偽の住所や電話番号を使う
→無論ダメ。
偽の住所はダメでも、登録したレンタルオフィスならOK。
ネットサイト、LP、SNSなどで自分の仕事をアピールしてる。そのページとはまた別のページに、取引用のページや予約フォームがある。この場合もアピールしている場所に表記を載せないとダメ?
→取引用のページや予約フォームに誘導して、取引を行う場合は載せなくてもいい。だけど、取引用のページや予約フォームには特定商取引法に基づく表記が必要。
スキルマーケットやECサイト、プラットフォームにも表記は必要か
→場所による。表記が必要なところもあるし、ないところもある。BASEは一部非公開が可能と、サイトにより掲示も異なる。
また、自分自身が継続的な販売を行っている「販売者」かにもよる。非継続性のないものを販売しているのなら、表記は必要がない。が、もし、消費者に事業者としての情報を求められたら何らかの対応は必要だし、その対応の方法もサイトによる。
自分占いや月間占いを載せているだけのサイトやSNSから、読者やフォロワーに「私の鑑定、有料で受けてみない?」とDMのやメールで誘う
→不当な勧誘にあたる可能性があるので、やっちゃダメ。鑑定を受けて欲しいなら、「鑑定依頼募集」と(広告として)明記する必要がある。
ネットやSNSに「いつでもご依頼受け付けています」「販売しております」と書いてはいるが、料金や値段は高額なので書かないで伏せてる
→伏せているページやSNSで取引をするのは法律違反。広告の表示がないため。サービス内容や料金や・値段が表記されているページに誘導するなら大丈夫。
「『絶対』復縁できる」という広告をつけたり、「必ず開運させる占い師」というワードでアピールする
→確証がないものに「絶対」「必ず」はつけてはいけない。虚偽・誇大な広告としてみられる可能性がある。やっちゃダメだし、詐欺にもなってしまう……。SNSでよくみかけるヤツなので、見かけたら消費者さんは逃げて欲しい(個人的意見)。
鑑定のクーリングオフ
→通信販売にあたるものはクーリングオフに適応されない。ので、表記しなくても大丈夫。
仕事の依頼をどこかの会社や組織からもらいたい場合も、表記が必要なのか
→取引が対象が一般の消費者ではない場合は、表記はなくてOK。一般の消費者も含まれる場合は必要。
特定商取引法、違反になるとどうなるの?
違反した場合には業務改善の指示や業務停止命令、業務禁止命令の行政処分、罰則の対象となります。
最近は、SNSでの取引に対するトラブルも増えています。
特商法の建議もあり、いつ法改正があってもおかしくないでしょう。
トラブルを未然に防ぐためにも、いつでも自分の情報を開示できるようにしておかないといけませんし、前もって表記を掲示しておく必要があるでしょう。
省略のない表記を、消費者のわかりやすい場所に掲示しておくのがベストですね。
結論・SNSのDMで直接鑑定依頼やグッズ注文をもらうときは、法に則った掲示が必要
「特定商取引法に基づく表記」はどこかには必要
SNSのDMで鑑定のお仕事をもらったり、グッズの注文をもらうときは、
・DMから、特定商に基づく表記がある依頼ページや注文ページに誘導する
・SNSに表記を載せておく
・誘導ページにしてもSNSに載せるにしても、わかりやすい場所に掲示しておく
……と、どこかには表記が必要となります。
さらに「販売者の確認のため、名前や住所を教えてほしい」と言われたら教えられるようにしておかないといけないので、表記を(紙でもデータでもいいので)書面にしておくといいでしょう。
「特定商取引法に基づく表記」のテンプレートは、検索をかければたくさんみつかります。
項目が多く、文書作成は時間がかかると思います。法律上必要なものなので、面倒くさがらず頑張って書いてください。
SNSで直接やりとりをするなら「占いサービス内容や商品名」「料金や値段」は必須。仕事内容を書かないとか、誇張やウソを混ぜちゃうのはダメ
上にも書きましたが、敢えてサービスや料金を書かない表記は広告の表記にはならないですし、誇張やウソを混ぜて掲示するのは消費者を誤認させる表記です。
SNSで直接鑑定予約やグッズ販売等のやりとりを行うのであれば、「占いサービス内容や商品名」「料金や値段」を嘘偽りなく、明確に載せないといけないでしょう。
おまけ・表示した自分の情報は保護されない
特定商取引法に基づく表記に載せる事業者の情報は、「個人情報だから〜」「プライバシーだから〜」といって保護されることはありません。
この法律は、悪徳な事業者や悪徳商法、違法な販売から消費者を守る目的があります。そのために事業者側は「クリーンである」と明かさなければいけない、その証拠となる個人の情報を提示しないといけないのです。
クリーンであることは当たり前中の当たり前なのですが、どこまでいってもクリーンじゃない事業者がいるから、法律に則って、事業者の個人情報を公開しなければいけないのです。
一応、そこも考慮して「一部は省略してもいい」と法律は言ってくれていますが、求められれば教えないといけないのですから、最初から真面目に仕事に取り組む人にとってはモヤっとしますよね……。
一方、消費者側にとっては安心材料になります。
・明確なサービスやグッズ内容が書かれているか
・料金・値段の表示があるか
・特定商取引法に基づく表記があるか
これらがあることで「この占い師に自分の情報を預けていいのか」「安心してお金を払っていいのか」がわかるのです。
お客さんに、安心して占いに触れてもらうためです。信頼にも繋がるので、個人情報を知られたくない気持ちもあるかもしれませんが、包み隠さず開示しましょう。
次回は「プライバシーポリシー」についてお話していきます。
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