私とムシキングとN君
皆さんが子供のころに熱中したものは何ですか?
そう、甲虫王者ムシキングですね。
皆さんが聡明で助かりました。
私とムシキングの出会いは小学3年生に遡ります。
当時私にはN君というお友達がいました。
彼のことがずっと好きだった私は毎週土曜日に家に遊びに行ける友達という関係の尊さに日々感謝と喜びの舞を猫に捧げていました。
だってクラスで人気のN君と2人きりで遊ぶ女子なんて私以外いませんのよ。2人きりで遊ぶ誰一人介入不可能な甘い時間への優越感。さながら勝者の余裕。ウイニングラン。
さて、そんなN君がある日私に1枚のカードをくれました。
わたし『なにこれ』
N君『マキシムスマルバネクワガタ、あげる』
わたし『???』
年頃の女の子にマキシムスマルバネクワガタあげる?????
N君は良い奴ですが乙女心がわからない男の子でした。隣で遊んでる私を近所の大木に樹液を塗りたくる虫取り少年だとでも思っているのでしょうか。生憎塗ったのはゼリー状のものだけです。
家に帰った私はカードを手に取り叫びました。
わたし『N君からマキシムスマルバネクワガタ貰っちゃった〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!!!!』
うれしいに決まってるだろ
喜びのまま知恵袋で【好きな男の子からマキシムスマルバネクワガタを貰いましたが脈ありでしょうか?】と投稿しました。
誰からも回答がきませんでした。
つまり私たちの関係は言葉で言い表すことのできない崇高なものだという理由の裏付けになります。
次の週、N君は続けてもう1枚カードをくれました
わたし『なにこれ』
N君『スーパーハヤテ、マキシムスマルバネクワガタの究極必殺技』
わたし『…』
マキシムスマルバネクワガタのスーパーハヤテまでくれるの〜〜〜!?!!!?!!!!!!!!!
【小学生女子に聞いた!好きな男の子に貰ってうれしいものランキング】が存在するならば第1位はマキシムスマルバネクワガタとスーパーハヤテに間違いありません。
しかし此処までくると【お前もムシキングを始めろ】説の方が強くなってきました。信じませんが。
カードを貰った私は翌日早速母親とゲームセンターに行きました。
目指すは甲虫王者ムシキングの筐体です。
私の通う店では横にオシャレ魔女ラブ&ベリーたるものがありましたが眼中にありません。渋谷のワンコが待っていようがその先にN君の姿はありませんので。
(その後数年にわたり100円玉を搾取され続けることをまだ知らない)母親から貰った100円を入れ、N君から貰ったムシを戦わせます。
あああーーーー!!!N君のマキシムスマルバネクワガタが敵のムシを蹂躙しているーーーーーーーーーーー!!!!!
N君のマキシムスマルバネクワガタが勇ましくも鮮やかにムシをなぎ倒す姿が美しく誇らしかった。
すごいよマキシムスマルバネクワガタ、愛してる。
その日から私は親と買い物に行くたびにムシキングを遊び続ける日々が始まりました。
因みにN君がムシキングを辞めた後もムシキングに取りつかれていたので恐らくN君とか関係なく純粋にハマっていました。すげえよマキシムスマルバネクワガタ実質N君だよお前はもう。
そんな虫染まりの生活に溺れる私のム生(ムシキングに捧げた人生の略)は唐突に終わりました。
スーパーハヤテの紛失
ほんの一瞬の油断でした。家に帰って確認するとスーパーハヤテの姿はなく、大慌てで店に戻り店員さんにも確認しましたがどこにも見当たりませんでした。
そんな…あれがなければマキシムスマルバネクワガタは…私は…
それから何度も筐体に100円を入れ続けたけれどスーパーハヤテは出てきませんでした。
いいえ、出てきたところでそれはN君が私にくれたスーパーハヤテではないのでこの行為は無意味です。
ごめんなさい。ごめんなさいN君。半泣きでN君に必死に謝ると、気にしなくていいと笑われました。だからモテるんだよ。
許してもらったものの、これ以上遊ぶ気にもなれず私は3年遊び続けたムシキングに別れを告げました。
そしてN君のことで苦しまない為にも、N君から勧められたものを簡単に受け取ることはやめよう。
そう、胸に刻んだ日の思い出話でした。
数日後、N君家で遊んでいたら彼が突然DSを差し出してきました。
わたし『N君それ何』
N君『マリオカートDS、面白いよ』
~帰宅後~
わたし『お母さん!!!!!!!!!!!!!!!!マリオカートDS買ってーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
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