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【話】クイズ短編『人生好転クイズ』

6問正解し、2回間違えた。人生ってこんなもんでしょ。
次に正解したら優勝。次に不正解したら劣敗。ここにいる5人から勝利できるのはひとりだけで、王手をかけるのも私だけ。勝つしかない。絶対勝つ。来い問題、「問題。」、来い──
「日本銀行法第8条第1項……」
「あーーーーっ!?」
私の解答席のランプ、光ってない!
「……」
思わず叫んでしまったあと、暴れ出しそうになるのを抑えて抑えて、数時間のようなシンキングタイムを過ごした。今にも崩れ落ちてしまいそう。
「……1億円」
解答権を得たのは隣に立つ男。導いた答えに正解音が応えたその瞬間、私の1億円が、消えた……!
優勝者が勝利を決めた"答え"を貰える早押しクイズ大会、「人生好転クイズ」。困窮のなか参加が許された私は、あちこちから借りた金を参加費に供してここに立っている。
いまの問題に正解していたら1億だった。そのチャンスを掴みそこねただけでなく、他の参加者に正解数で並ばれた。次に正解されたら負ける。負ける未来ばかりが鮮明になっていく。切り替えろ。絶対にボタンを押して、勝つ。
「問題。慣用句で、赤字のときには出て……」
……やった! 光った! 私のランプだ、
「……え?」

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