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誕生日の嬉しさとさみしさと、でもやっぱり嬉しさと

先日、大阪に滞在している間に、Bさんが誕生日祝いをしてくれた。

少し前に「誕生日どこ行きたい?」と訊いてくれて、私がリクエストしたイタリアンのお店へ。
こぢんまりした素敵なお店で、お料理はどれも彩り華やかで美味しく、お店の方たちも感じがよく、ワインがペアリングで1杯ずついただけるのもありがたかった。

お店は私のリクエストで、コースも「ペアリングつける?どうする?」とBさんに訊かれて私が選んだコース。
それがBさんのやり方(私に決めてもらうのがいちばん間違いないと思っている)で、私も異存はないのだけど、そのぶん驚きもない。
だから、つつがなくコースが終わろうとしていたタイミングで運ばれてきたデザートに、私はほんとうに驚いた。
まさかのお誕生日プレートだったのだ。

下はトリミングしたけど、名前も入ってました

そんなことで!?と思われるかもしれないけど、Bさんはマジでこういうことをしない男性で、私もまったくもって期待していなかったので、このプレートを見て口をあんぐり開けてしまった。気の利いた言葉が出ず、ニコニコと運んできてくださったお店の方にまで
「…あの……彼、ふだんこういうことしないタイプなんで……」
と、無駄にBさんの性格を伝達してしまったほどだ。もっとほかに言うことあるやろ。
お店の方が記念にと写真も撮ってくれて、あとから見たらBさんも私もめちゃくちゃ良い顔をしていた。

食べている間、Bさんが
「こういうプレートにするならデザートはシンプルな果物だけになっちゃうかもって言われてんけど、ちゃんと豪華にしてくれて良かったわ」
と言っていて、わざわざ電話で交渉してくれたんだなあと思うとしみじみ嬉しかった。

こんなにも幸せな誕生日を過ごさせてもらったというのに、翌朝、ちょっとだけケンカをした。ケンカというか、私が勝手にむくれた。

きっかけは、早朝にBさんが
「はよ起きてフットサルいかな」
と言い出したことだった。

佐久間「えーーーー?フットサルいくの?」
Bさん「行くよ。フットサルも病院も」
佐久間「ぶーぶー(むくれる音)」
Bさん「えー?もう1週間毎日泊まってるし、ちょっと解放してや」
佐久間「解放て!そんな嫌やったん?」
Bさん「いやいや、そうじゃないけど!」

というやり取りがあり、結局「…じゃあ行ってらっしゃい」と私が折れた。
別に行きたいところがあったわけでもないし、一人になったらなったで私も「解放」されてのんびりできて、結果全然良かった。でもちょっとモヤモヤ。

この日にここに行きたい、とか私が言えば、よほどのことがない限りBさんは調整してくれたと思う。
私が言わなかったから、Bさんはフットサルに行った。それだけだ。

なんか今回、そういうのが多かった。
プレゼントにしてもそう。
多分私がリクエストしたら、買ってくれたと思う。
でもリクエストするほど欲しいものがなかったし、そもそも7月のBさんの誕生日に何もあげてないし(そんな分際で何言ってんだという感じだが、クリスマスにあげたエアタグを使ってくれてないのは当時から知っていたので、なんか「まあいいか」とスルーしてしまった)、私からは何も言わなかった。で、そのままになった。

結局のところ私は、Bさんのほうから言ってほしかったのだ。「どこか行きたいとこある?」とか、「プレゼント何が欲しい?」とか。
Bさんがそういう気を回せる人じゃない(失礼)のは分かってるのに、勝手に『与えられ待ち』して、与えられなかったらさみしくて不貞腐れていた。言葉にするととてもダサい。
GWの記事で「『してくれない』ことがあまり気にならなくなり、『してくれた』ことには素直に感謝できるようになった」とか書いてたくせに、ちょっと甘やかされたらこれである。ダサい。

でもあとから考えてみたら、Bさんが私のためにしてくれていたことは勿論沢山あるのだった。
「あした地元で朝から用事があるから、きょうはそっち泊まらへん」と言っていた日も夜になったらなんだかんだと来てくれて、結局私が大阪にいた1週間あまり、ほんとうに毎日うちに泊まってくれた。
疲れているように見える日も一緒に飲み屋を開拓してくれたり、ぎりぎりまで寝ていたいだろうにフットサル前に早起きして私の好きな銭湯へ連れて行ってくれたり、伸びっぱなしだった髪を誕生日ディナーの前にちゃんと散髪してきていたり。たぶん、仕事とフットサルと通院以外の時間はほとんど私に費やしてくれていたと思う。だいたい「誕生日どこ行きたい?」って、Bさんから訊いてくれてたし。

ひとつひとつ事実を積み上げていくと、感謝こそすれ、文句を言う筋合いはどこにもなかった。

大阪から帰ってきて数日後、Bさんから
「◯◯(セカンドルームがある地名)恋しい」
とLINEが来た。
セカンドルームはBさんの実家よりはるかにBさんの職場に近く、通勤に便利だったからそんなことを言い出すのかもしれない。
と疑った私は、
「私じゃなくて◯◯なんや笑」
と返した。

そしたら少し経ってから、
「なんというツッコミ!ひねとるなー笑」
のあと、
「ゆいのいる生活 笑」
と返ってきた。

急なデレに脳が追いつけず、しかもうっかり職場で見てしまったので(夕方だったのだ、つまりBさんは酔っ払っているわけでもない)すぐさまスマホを伏せて死ぬほどニヤニヤした。職場にまだマスク文化があって良かった。

そんなこんなで、結局のところ嬉しい誕生日ウィークでした。
1年前、まさか次の誕生日もBさんにお祝いしてもらえるとは思ってなかったなあ。

前述のとおりBさんのお誕生日にはあげるものが思いつかなかったのだが、ゆうべ楽天を見ていたら「これ良いやん」と思うものを発見。
それを、ペアで自分にも買うことにした。勝手に。
高価なものでも特別なものでもないのだけど、選んでいる間すごく楽しくて、そして注文した瞬間、なぜかすっきりと心が晴れた。

そうか。私が望んでいたのは、Bさんに何か買ってもらうことより(それもあるけど)嬉しい時間の記念を形に残すこと、そしてそれを選ぶこと、そのものだったのか。
Bさんがそっちに興味がないなら、別に私がお金を出すのでも全然良いのだ。だって私が欲しいんだから。

Bさんと私は、お揃いのものを所有したことがない。
次に会ったとき、強制的にペアアイテム(身につけるものではないけど)を渡したらどんな顔をするのかなー。いまから楽しみ。

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