人魚の鱗ー鱗に魅せられた女2ー

大学卒業直前に、一緒に起業した婚約者である棗と結婚するので、めちゃくちゃ忙しかった。

キャンパスのベンチでパソコンをいじっていた。

「幸彦はいいなぁー可愛い棗ちゃんと結婚できるなんて」

親友の藤森にしみじみ言った。
こいつは友達思いで良い奴なのだが、恋多き男ですぐ人を好きになっては振られてを繰り返している。

「お前も好きになる女をちゃんと一途に想えばなんとかなるって」

「かー!マドンナと結婚できる男の言うことは違うね」

と藤森が俺の肩をバンバンと叩いていた。

「幸彦ー!一緒に帰ろー!」

俺を手を振りながら軽く駆け足で近寄ってくる棗にパソコンをしまい軽く手を挙げて待っていた。

「ひゅー!お熱いねぇー」

ニヤニヤって藤森が俺を見ていた。
それにイラッとしてしまい、かるくクビをギューッと締めてやった。

「ギブギブ!あれ?」

藤森が入口を凝視していた。

「あ?」

入口を見てみると高級な赤いピカピカな車が停まっていた。

「珍しいねぇーこんな車止まってるの」

棗の言葉と同じようなことを思った。

車からスーツを着た男性が出てきて、後部座席を開けた。

するとぴっちりとしたワンピースを着てハイヒールを履いたサングラスをした女性が歩いてきた。

サングラスを外して高そうな小さいバックの中にサングラスをしまい。

微笑んだ。

「え!?一条紫苑じゃねぇ?やっぱ綺麗だなぁー」

流行などに敏感な藤森がびっくりしていた。
たしかに綺麗ではあるが棗以上の魅力は感じず、なんか嫌な感じがしてしまった。

「高橋幸彦くんと海野棗ちゃんよね?」

自分たちを知ってることにびっくりした。

「お仕事をお願いしたいんだけど」

と困った顔をして紫苑とかいう女性は言った。

「じゃあ俺は先に帰るわー」

と藤森が気を利かせて先に帰ってしまった。

「ここじゃあ、詳しい話できないから私の行きつけの場所でお話しましょう? 」

紫苑さんの言葉にちょっと警戒した。
それが伝わったのか、俺の腕をギュッと力の入る棗がいた。

棗と目を合わせて棗に微笑んで、安心させるようにした。

「分かりました。」

俺は棗を守るという気持ちを強く持ちながら相手を見た。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?