飯田朔

集英社新書プラスで「スペインへ逃げてきたぼくのはしっこ世界論」を連載中。東京・三鷹で暮…

飯田朔

集英社新書プラスで「スペインへ逃げてきたぼくのはしっこ世界論」を連載中。東京・三鷹で暮らす。

最近の記事

映画の中の「多様性」をどう評価するか

最近は欧米の新しい映画を見たときに「あ、多様性に配慮してこういう描写になってるのか」と感じることが増えてきた。 俳優やスタッフの人種や性別をこれまでより多様に、テーマも「多様性」、という構えで映画が作られる新しい流れは、それ自体はいい。んだけど、それがなんというか「型だけ」になってしまい、中身がまるで薄い映画・ドラマが出てきている。 そうした映画を見ると、逆に作品の「多様性」を支える柱が崩れてしまっている感じを受けることがある。 なぜ「多様性」を描く映画の一部に、「多様

    • 笙野頼子「返信を、待っていた」の問題点

      今さらながらようやく笙野頼子「返信を、待っていた」を読んだ。 以前スペインにいるとき、ツイッターで、群像に掲載されたこの作品の抜粋を目にし、そこに新宿の飲食店ベルクについて中傷、デマが書かれているらしいことを知り、ぼく自身それに関してツイートしたことがあった。だから、帰国したら自分の目で確かめなければ、と思っていた。 1 作品にふれる前に 新宿ベルクは、ホットドッグなどが美味しく、何度も通ってきた店だ。昨年の秋ごろ、店長がある客とツイッター上で言い争いになったのを見かけた

    映画の中の「多様性」をどう評価するか