ふるさとカフェ訪問

 私達方言チームは、「ふるさとカフェ」に2度訪問させて頂きました。「ふるさとカフェ」では、認知症予防と、"認知症になっても安心して暮らせる町づくり”を目的に、小物作り・絵を描くなどの手作業等を通して地域の方々との交流を図る活動を、毎月2回茂来館で行っています。
 初回訪問時は、ご挨拶を兼ねて、方言チームで行う『「桃太郎」を方言に直して話すと、どんなお話になるのか? !』という活動内容をご説明させて頂き、南佐久地域の方言についての想いや体験談などをお伺いしました。
 意外だったのは、皆さん普段からお仲間同士の会話でも方言で話す事が少ないとおっしゃったことです。すんなりと昔話を方言に変換することは難しいかもしれないと感じました。

 そこで2度目の訪問では、元になる桃太郎の文章を分かりやすく簡潔にしたお話に変えて、方言変換に挑んで頂きました。
 初回にお伺いした時にお試しをしていたことや、職員の方の声掛けやアドバイスの効果もあり、案外スムーズに変換作業は進んでいきました。
 文を読みながら、「私だったらこんな風に言わないね。」や、「ここいらでは、女も男も自分のことを、おら、とか、わし、とか言ったりもする。」など、会話も弾みました。
 どんな地元言葉があるか、この文章はどんな言葉に置き換えられるか、こんな風に言い換えたらどうか、など、あれこれ話し合い、方言を思い出しながら作品が出来ました。(その桃太郎の語りについては、下記に表示!)
  
これが、その時の動画です。         https://youtu.be/BJX7sSmMAX8

 撮影を終えた後には、皆さんから「なかなか方言を使わなくなったから、難しかったけど楽しかった。」や、「良い機会だった。」などの感想をお伺いすることが出来ました。
 物語を方言で言い換えることは、難しさもあり戸惑われたことと思いますが、私達の活動にご理解を頂き、快く参加して下さり、どうも有難うございました!


 皆さんとお話する中で印象的だったのは、「コロナで皆と会えなかったから、ここに来るんが楽しみでね~!」とお話された方がいらっしゃったことです。
 お洒落にとても気を遣っているご様子でしたので、「素敵なお洋服でお似合いですね。」とお声掛けすると、「これが終わったら、お友達とげんでる号(佐久穂町のデマンドタクシーの名称)に乗ってランチなの。だからね、洋服ダンスからあれこれ引っ張り出して、お洒落してきたの!」と、嬉しそうに教えて下さいました。
 これまで友達と会えなかったり、知り合いが体調を崩されたり、お亡くなりになったりと、色々な事があった数年間だったそうです。辛いお話もあったのですが、お友達との会話では笑顔がいっぱいで、活き活きと前向きに人生を楽しもうとされているご様子が感じられ、とても素敵な活動だなぁと思いました。

 大勢での集会やサロンが、コロナ禍の影響で開催が難しくなり、仲間と交流する機会が激減し、日中1人で過ごすことが多くなっていたそうで、皆さんのお話からも、『ふるさとカフェ』の開催が、参加者の方々にとって心の拠りどころとなっていることを感じました。

 文・天田
          

活動中の様子

~方言に変換した『桃太郎』~
① 昔々、あるところに 爺やんと婆やんがおりました。
  ある日、爺やんは山へボヤ(火起こしの時に使う小枝など)取りに、婆やんは川に洗いもんに行っただと。
   婆やんが洗いもんをしていると、川の向こうから大きな桃が「ドンブラコ~ドンブラコ」と流れて来ただ。

② 「ありゃ~、こりゃたまげた!」と、婆やんは腰を抜かしそうになりました。が、でっけーうまそうな桃に、「こりゃ、うちへ持ってけーって爺やんに見せよ!」と、えっちらおっちら抱えてけーって行った。
  爺やんも山からけーって来ると、でっけー桃を見てびっくらこいた。そんで、あんまりでっかくて美味そうなもんで、食ってみることにした。
二人がその桃を割ろうとしたら…

③ でっけー桃がぱかっと割れて、中から男のアカ(赤ん坊の意)が飛び出した!
二人はまた腰抜かすほど驚いたが、子のいなかった二人は、天からの贈り物だと大喜び。
その子に、桃から生まれた「桃太郎」と名づけ、大切に育てました。
      

🔶今回使用した元のお話です。

「桃太郎」
①むかしむかし、あるところにお爺さんとお婆さんがいました。
 ある日、お爺さんは山へしば刈りに、お婆さんは川へ洗濯に行きました。
 お婆さんが川で洗濯をしていると、川の向こうから大きな桃が「ドンブラコ~ドンブラコ」と、流れてきました。
②「ありゃ~、こりゃたまげた!」と、お婆さんは腰を抜かしそうになりましたが、大きくて美味しそうな桃に、「これは家に帰って、お爺さんと一緒に食べましょ。」と、えっちらおっちら抱えて帰って行きました。
 お爺さんも山から帰ってくると、大きな桃を見てたいそう驚きました。そして、あんまり立派で美味しそうなので、早速食べてみることにしました。二人がその桃を切ろうとした瞬間…

③ 大きな桃がパかっと割れて、中から元気な男の子が飛び出したのです。
  またまた二人はビックリ仰天、腰を抜かすほど驚きましたが、元気な産声に子どものいなかった二人は天からの贈り物だと大喜び。
 その子に桃から生まれた「桃太郎」と名づけ、大切に育てました。


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