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佐久穂町の昔の集落の暮らし 畑ヶ中②〜幼馴染のお二人の川の思い出〜

佐久穂町の集落は、昔はどんな様子だったのでしょうか。子どものころから畑ヶ中で暮らす、幼馴染の二人の女性にお話を伺いました。前回は、暮らしの近くにあった川の様子について。今回は、当番制のお風呂に関するエピソード。お風呂当番は、なかなか大変だったようです。

お話を伺ったのは…

<畑ヶ中在住>
高見澤 幸枝さん(92)
佐塚 つや子さん(92)

[佐久穂町の昔の集落の暮らし 畑ヶ中〜幼馴染のお二人の川の思い出〜] 
は、①〜⑤編まであります。
▼最初の記事はこちら
佐久穂町の昔の集落の暮らし 畑ヶ中①

お風呂は当番制!ご近所さんとの助け合い

インタビュアー(以下 イ)「お風呂のために川の水を何往復も汲みに行くのは、大変ですよね。各家庭が毎日やるのは負担が大きいので、順番で風呂を沸かして、そのお宅にご近所さんがお風呂を借りに来たんですね。」

佐塚さん(以下 さ)「交代で、お風呂を借りに来るでしょう。昔は囲炉裏があったもんで、そこで茶を出すのが当たり前だった。そこでみんな、お茶だの漬物だの色々囲んでね。昔はお菓子なんて、今の様に豊富にないし、器もないから、つまようじとかでなく、手で食べてね。」

イ「お風呂の当番になると、大変ですね。お風呂もお茶も用意して。」

さ「近所の人がいっぱい来て、入っていってねえ。」

高見澤さん(以下 た)「だからね、自分たちの入る時のお湯なんか、垢だらけでもう入れないよ、今考えれば。」

さ「外で洗うんじゃない、(浴槽の)中で洗うんだから。最後にそのうちのもんが入る時なんて、明るい所でなんか見られないね。」

イ「温泉旅館に行ってるような感覚ですね。お風呂入って、お茶飲んで、帰るだけ。」

さ「そうそう。(笑)」

た「居間で横になって、休んでいく人もいた。(笑)」

イ「人のおうちで?(笑)」

さ「そうそう、“こんばんは、お湯貸しとくんなんし”、“よくおいでやした”、なんつって、うちのものはもてなして。若い人にとっちゃそんなこと、信じられないよね。」

当時は外風呂が主流

イ「いつ頃くらいまで、お湯を借りに行ってたんですか?」

さ「そうだね、私らが青年団に行ってる頃だったからね。21~2歳頃まではそうだったね。」

た「外風呂だったからね。外にお風呂たててたよ。」

さ「雨が降れば、傘やってくれてね。」

イ「お風呂炊くのも、薪を燃やしてですか?」

さ「そう、みんな薪でね。」

た「薪は、屋根の下へ置いとくだよね。」

イ「お風呂の火を焚いたりするのは、誰の仕事だったんですか?」

た「手の空いてる女だよね?」

さ「そう。」

た「女の人は苦労しましたよ。」

イ「お風呂は全部の家にないから、ある家で沸かしてもらって入るんですか?」

さ「全部の家にはなかったね。あるうちが交代で、順番に炊いてね。」

イ「お風呂はみんな、毎日入れたということですか?」

さ「そう。今日お風呂たてたから、きとくんなんし(おいでください)、なんてね。」

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当時の女の人は、色々なお仕事があって大変だったのですね。まるで温泉旅館のようなおもてなし、頭が下がります。
次回の「佐久穂町の昔の集落の暮らし 畑ヶ中 幼馴染のお二人の川の思い出③」では、当時の川遊びの様子についてお伺いします。当時はどんな風に遊んでいたのでしょうか。

▼続きはこちら
佐久穂町の昔の集落の暮らし 畑ヶ中③

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文 櫻井麻美


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