佐久穂町の昔の集落の暮らし 畑ヶ中①〜幼馴染のお二人の川の思い出〜
佐久穂町の集落は、昔はどんな様子だったのでしょうか。子どものころから畑ヶ中で暮らす、幼馴染の二人の女性にお話を伺いました。川がすぐ近くにあった暮らしでは、川と生活が密接に関わっていたようです。
お話を伺ったのは…
<畑ヶ中在住>
高見澤 幸枝さん(92)
佐塚 つや子さん(92)
川でのたらいを使っての洗濯
インタビュアー(以下 イ)「先日、昔の写真を見せていただいて、川の工事の時のお話を聞かせていただきました。洗濯などは、どうしていたのでしょうか?」
佐塚さん(以下 さ)「洗濯なんてね、みんなたらいでね。洗濯機が流行りだしたのは、わたしが子ども産んでからだね。こういう手で絞るのが付いてる洗濯機ね。」
高見澤さん(以下 た)「そう、絞り機が付いててね。」
イ「洗濯機ができる前は、どこでお洗濯してたんですか?」
さ「みんな、たらいで洗濯してた。」
イ「川にたらいを持って行って、洗うんですか?」
さ「わたしらは川がすぐそばだったから、たらいで洗って、川へ行ってすすいでた。川はきれいだったしね。」
た「今の様じゃない、きれいだったからね。それこそ昔は、井戸がない人は川の水を飲んでただから。」
川の水は飲めるくらい綺麗だった
イ「川の水をそのまま!ろ過せずにですか?」
さ「そのまま、昔はね。」
た「そのくらい、きれいだったの。」
イ「畑ヶ中の川っていうと、何川ですか?」
さ「すぐそこに境があってね。上は余地川で、そこからが抜井川だね。余地川は深さが1m以上あって、結構広かったね。うちは余地川から引いている用水が近くて、そこで洗濯をすすいでいたけれど。」
た「このうちはねえ、水が近くてね。」
さ「それこそほんとに、川のすぐそばにうちがあったからね。」
イ「遠いと、大変ですよね。」
た「うちは高い場所にあっただから みんな下から汲み上げ。」
さ「幸枝さんとこは余地川からみんな水を汲み上げて。お風呂たてる(沸かす)にも大変だったね。」
た「こうだよ、担いで。(両端に水桶がある棒を肩に担ぐ仕草)」
さ「女の人たちでね。」
イ「お風呂のお湯のための水ですよね?それは、女の人の仕事だったんですか?男の人じゃなくて?」
た「男なんざめったにやらない、そんなこと。」
イ「お風呂の水をためるには、何往復するんですか?」
た「三回も、四回も。つやちゃんはすぐそこが川だったから、うらやましかった。」
さ「顔洗うのもすぐそこの川でね。鍋や、お釜洗うのにもやってたけど、今は考えられないね。子どもの頃はそうだったけど。」
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洗濯のみならず、お風呂に水浴びに、当時の暮らしに川は欠かせない存在だったようです。
次回の「佐久穂町の昔の集落の暮らし 畑ヶ中 幼馴染のお二人の川の思い出②」では、お風呂にまつわる思い出についてお伺いします。当番制のお風呂は、なかなか大変だったようです。
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文 櫻井麻美
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