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八千穂老人センター内「こまどりカフェ」を訪ねて

八千穂保育園の向かいにある八千穂老人センターの中にあるこまどりカフェにお邪魔してきました。これは、佐久穂町の社会福祉協議会が、住んでよかった町、安心して暮らせる町に地域みんなで支え合うまちづくりとして色々な世代の人が集まってお茶を飲みながらおしゃべりをする居場所づくりを目的で行っている事業で、当日は、参加者3名とスタッフ2名の方にお話を伺いました。

こまどりカフェの準備の様子

「普段一人だから言葉が出ない」「前は、3.4人でお茶を飲んでたけど、今は、コロナもあって寄り合いっつうのがない。」「昔の言葉忘れちゃって昔ほどは使わなくなっただよ。」「1人で暮らしてると会話がないから声も出すこともない。だから久しぶりに出てきたけどなかなか声が出ない」
とおっしゃってました。それでも 方言についての面白い話をみなさんが思い出しながら、教えて下さいました。

例えば娘さんが、小学校時代のお話(15年程前)。ある晴れた夏の日。学校のプール教室がある日に、山側のうそのくち集落の子どもたちだけ来なかった。古屋さんのいた清水町は、晴れているので、不思議に思い、うそのくちに連絡してみた。するとその集落は、雨が降っているという。だから、うそのくちの子どもたちは、学校のプール教室は、雨で中止だと思い、来なかったのだ。「佐久穂町は、山があるので、高低差があり、地域によってそれほど気候が違ったのだ。更に、昔は、もっと雪も多かった。昔は今と違って車社会ではなく、自転車もなかったので、歩くしかなった。だから、常会同士毎日行き来する距離もそんなに広くなかった。人の行き来も頻繁になく、方言も独自のものになった。」という。
他のスタッフの方は、「この町に来た頃は、方言がきつくて怖かったの、でも長年住んでいるといつの間にか自分も方言をしゃべっていることに気づいたの。」と笑っていました。
例えば「持ちに行く、行かずよ、行かずい。」と言う言葉、行くのか?行かないのか、「一緒に取りに行こう」という意味なのだが、初めて聞く人は、私も含めて戸惑ったに違いない。標準語では、取りに行くよ、でも行かないよ、行かないよな。と聞こえてしまうからだ。面白い表現だと思った。

その後桃太郎の話を方言に直すチャレンジも行いました。

その結果は、こちらで聴けます。

https://youtu.be/hRgfqwYaouc

こまどりカフェの皆様
ありがとうございました。

協力者
井出悦子 小宮山加代子 佐々木静江
スタッフ 
島崎ふみ子 古屋真理      
文 大波多志保


【桃太郎方言Ver】

むかしむかし、あるところにじいやん、ばあやんがおったな。
ある日のこと。
「今日はなにするだい?」
「わしゃ山へしばかりにいってくるだい」
「わしゃ洗いもんに行ってこうや」

「さーて川だ。どっこいしょ。」
「さて、もう年で腰も重いし洗いものするにもしんのだな。」
「へぇ、けえらなきゃ。今日のばんめしは、なににすんべ」

すると川の方からドンブラコ~ドンブラコ~と何か流れてきただ。

「ありゃなんだ」
「まぁ、なんてでっけえ桃だこと」
「早くけえってじいやんに言わなきゃ」
とうちへ急いで持ってけえっただ。

「山からけえったじゃ」
山からけえったじいさんは
「何だこりゃ。こんなでかい桃見たことねえぞ。相当うまいぞ。
ばあさん、切るもの持ってこいや。食ってみよう」

と桃を切ろうとしたその時

「おぎゃ~おぎゃ~」
と桃の中から丈夫そうな赤が飛び出したのです。

「おお、なんてことだ。桃から赤が出てきたぞ」
「じいやん、どうすんだ。腰抜けるかとおもったに」
「でも、おらんちには子はなかったから、こりゃ~授かりもんだね。」
「そうずらな~」
「そうずらそうずら。この赤はうちの子だ。桃から生まれた桃太郎といいずら。」
「それはいい名前ずら」
それから桃太郎はじいやんばあやんに、でえじに育てられ、仲良く暮らしましたと。

【桃太郎 原文】
むかしむかし、あるところにお爺さんとお婆さんがいました。 
ある日のこと、

お婆さん:「今日は何するの?」
お爺さん:「俺は、山へしば刈りに行ってくる。」
お婆さん:「あたしゃ川へ洗濯しに行ってくるよ。」「じゃあ、行ってらっしゃい。」

お婆さん:「さぁて川だ。どっこいしょ!」
     「やれやれ、もう年で洗濯するのも大変だ。」
     「はやく終わって、帰らなきゃ。今日の夕飯はどうしようかね。」

すると、川の向こうからドンブラコ~ドンブラコと、何かが流れて来ました。 

お婆さん:「ありゃなんだ?!」「まぁ、なんておっきな桃だこと!」
     「早く帰ってお爺さんに見せなきゃ。」
 
と、家に急いで持って帰りました。山から帰ったお爺さんは、

お爺さん:「何だこりゃ!こんなでっかい桃は見た事ないぞ。そうとう美味いに違いない。婆さん切るもの持ってこい。早く食べてみよう。」

と、桃を切ろうとしたその時…

 赤ちゃん:「おぎゃーおぎゃー!」
と、桃の中から元気な男の子が飛び出したのです。

お爺さん:「うわー、なんてことだ!桃から赤ん坊が出てきたぞ~!」
あ婆さん:「まぁ、お爺さんどうしましょ。腰が抜けるかと思ったよ!」
     「でも、うちにはずっと子どもがいなかったから、これは天からの贈り物かもしれないよ。」
お爺さん:「う~ん、そうかもしれないな。」
お婆さん:「きっとそうですよ。」
お爺さん:「それじゃ、今日からこの子はうちの子だ。名前は、桃から生まれたから『桃太郎』としよう。」
お婆さん:「それは良い名前だね!」

それから、桃太郎はお爺さんとお婆さんに大切に育てられ、仲良く暮らしました。


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