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佐久穂のお魚くん 上田渓太さん/初出店者インタビュー

さくほリビングマーケットに初出店した方のインタビュー記事を連載しています。なにかにチャレンジしている人たちは、どんな思いをもって活動しているんだろう?背景にあるストーリーをお聞きしました。

「自分が子どもの頃に比べて川で遊びながら魚を捕まえたり 、イベントで掴み取りをしたりする機会が少なくなったように感じる」という上田渓太さん。「子どもたちに魚と触れるきっかけを」と魚のつかみ取りのブースを出店しました。子ども、魚、川、佐久穂、南佐久など、上田さんの熱い思いをお聞きしました。

——さくほリビングマーケット(2024.8)出店してみていかがでしたか?

思った以上に反響が大きかったです。子どもたちがどんどんやってきて、興味津々で楽しんでくれて。こんなによろこぶんだ!!と驚いたほど。やっぱり、子どもの時しかあんなに無邪気に騒いだりできないじゃないですか。そういう場をつくることができたのは良かったなと思います。

実は、40匹のニジマスを用意して始めたのですが、終了時間よりも早くにすべての魚がはけてしまったんです。間に合わなかった子どもがすごく悲しい顔をしているのを見て、急遽、八千穂漁業さんにお願いして10匹増やしてもらいました。
もしかしたら、その子には次のチャンスがないかもしれない。そう思ったら、どうしてもつかみ取りをやらせてあげたくて。無理なお願いに対応してくださった八千穂漁業さんにも感謝しています。

——そんなことがあったんですね!我が家の息子も目を輝かせて魚を追いかけていました。

つかみ取りは、子どもと魚が鬼ごっこしているみたいでしたね(笑)とはいえ、自分が一番楽しんでいたかもしれません。大好きな魚にたくさん触れられるし、袋からプールに魚を放すとき、「いっぱいいる!生きてる!」ってうれしくなっちゃいます。

ずっと同じことをやり続けるのも飽きてしまうので、つかみ取りにも工夫を加えていけたらおもしろいですね。今度は目隠しをしてやってみよう、とか。

——目隠しは難易度が高そう!なぜ「つかみ取り」なんですか?

釣り好きの父の影響で、3歳くらいから大日向の川によく遊びに行っていました。その頃は、岩に手をつっこめば魚がいたんです。その感覚が楽しかった!今は、昔に比べて川で遊んでいる人も少ないし、川に行っても魚がいません。だから、今の子どもたちにもその感覚を体験してもらいたくて、つかみ取りを始めました。魚を好きになるきっかけにもなると思うんです。

——なるほど。川は危ないもの、というイメージもあってなかなか自由に遊びに行けなくなりましたよね。佐久穂町に住んでいても、なかなか川魚に関わる機会はありません。

そうですよね。魚と関わることって、命をいただく学びにもなります。
子どもたちとのイベントで、つかみ取りした魚をそれぞれ調理して食べたことがありました。魚をさばいて血が出てきたとき、「怖い」「気持ち悪い」「かわいそう」いろんな感想が出てきました。釣って、捌いて、食べる、という命の学びができるのも、魚ならではだと思います。こういう経験があると、食べられるものを捨てるわけにいかないという気持ちも生まれますよね。

——無邪気に大騒ぎできるつかみ取りから、命の学びまで。いろんなことができますね。これからやってみたいことはありますか?

実は、昨年度さくほリビングカレッジに参加して、「佐久穂町だけじゃなく、南佐久圏域で子どもたちが魚と親しむ場を作りたい」という構想を話したら、叶ったんです。北相木村で活動している「あそ部」や「あいきびと」など、同じような思いをもった同世代に出会えたことも大きかったですね。動きだしたら、どんどん広がっていきました。

自分がやっていることは、地域おこしというより、「子どもと楽しむ・子どもを楽しませる」という感覚。とはいえ、遊び方を起こすのは子どもなんですよね。

自分ひとりでは実現できないことばかりなので、一緒に活動できる同世代の子ども好きの人にもっとたくさん出会って、子どもたちが魚に親しめる場をつくっていきたいです。

上田 けいた(@kirurkita765) 

writer 細川敦子


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