読書感想文「わたしたちのウェルビーイングをつくりあうために」

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「わたしたちのウェルビーイングをつくりあうために -その思想、実践、技術」

渡邊淳司/ドミニクチェン 監修・編著  安藤英由樹/板倉杏介/村田藍子 編著

今、自分の中での熱いテーマ、というか生涯のテーマにしていきたい「well-being」。

何となく分かるようで説明するのは難しい言葉のひとつかなと。

直訳すると「よい状態」。

研究上さまざまな考え方があるが、代表的なものは、ウェルビーイングを「構成概念」と捉えるものである。「構成概念」とは、状態やメカニズムを説明するために人為的に構成された概念であり、「天気」や「景気」も構成概念である。

つまり、ウェルビーイングの存在を仮定して、定量的に評価する軸を作ったり、その要因を検討していくことで、ウェルビーイングに働きかけることができるということ。

本書ではウェルビーイングの要因を「わたし(I)」、「わたしたち(WE・SOCIETY)」、「それらを超越したもの(UNIVERSE)」の3つにカテゴリー分けし、それらの説明と実践の様子を中心に書かれている。

本書の中核となるメッセージは冒頭に書かれており

ウェルビーイングとは、「わたし」が一人でつくりだすものではなく、「わたしたち」が共につくりあるものである。

という部分。

ウェルビーイングの研究は、欧米的な「個人主義的」な視点に基づいて進められてきており、日本や東アジアにおいて重要視される「集産主義的」な視点を無視しないために、日本での実践場面を紹介しながら日本的なウェルビーイングを深めていくことに主眼を置いている。

ただ、何となくわかるけど自身の問題意識の分野とやや離れている部分もあり、読了後は「分かったような分からないような…」感じでした。

おそらく著者たちの属性によるものと思うが、ややテクノロジー視点で書かれており(というように感じるだけかも)、その分野に疎い私は細かい部分があまり理解しきれていないという感じはありますが…「well-being」をテーマに仕事をしていきたいのなら読み込んでいかないといけないなーと感じました。

しかし、その中でも強く心に残った部分があるので紹介を。

予備は、予防とは異なる。「予防」は、ネガティブな出来事(失敗)が起こることを未然に防ぐこと。これに対し「予備」は、ネガティブな出来事(失敗)が起こることを許す。起こってもいい、ただし決定的な失敗にならないようにする。その安心感があれば、誰もが安心して失敗できる。失敗できる環境とは予防ではなく予備のある環境であり、ここに社会としてのウェルビーイングを高める手がかりがあるのではないか。

若年性アルツハイマー型認知症の方のエピソードを踏まえての言葉。

これには「確かに」と感じました。

仕事場面でも、今書きながら思ったけどこれは子育てにも当てはまることかな。「リスク」を排除するほうがこちらとしては安心だけど、それは当事者にとってウェルビーイングにならない、だからこそどうしたらいいのか個々の対応が必要になってくるんだろうな。

もう少し「well-being」を深めてからまた戻ってこようかと思います。

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