見出し画像

【WSH】プロスペクトランキング【2023夏】

FanGraphsのFV(Future Value)を参考に選手の将来的なスケール像を「20-80スケール」で表してランキングを作成しています。
*選手のポテンシャルと現在のスタッツをベースに選手の将来的な価値(≒WAR)を総合的に評価しています。
*選手成績は23年8月9日時点のものです。

年齢・階級は23年8月9日時点のもの

FV60

1.ディラン・クルーズ OF 21歳/A

今年のドラフト全体2位指名。圧倒的な打撃力を有し、ブライス・ハーパー(現PHI)級の逸材と期待されています。大学3年間で146K/152BBとアプローチも隙がありません。走守でも貢献ができ、CF適性もあります。順調ならば2位のウッドとともに2025年頃のデビューと見ています。攻守の理想像はアンソニー・レンドン(現LAA)でしょうか。CFと3BはFanGraphsのWARを計算する際の補正が+2.5で同じですが、17~19年のレンドンのWARが5.9~6.8です。3割25本でCF守備が平均~平均以上ならWARが6前後になるでしょう。

2.ジェームズ・ウッド OF 20歳/2A

MLBトップ級のパワー&スピードを備える巨漢選手。A+ではwRC+155と圧倒的な成績を残しましたが、2Aに上がってからは打率.224・三振率32.6%とコンタクト面の適応に苦しんでいます。それでも53試合で10本塁打を放つなどパワーは発揮しており、OPS.791・wRC+113はさすが。年齢的には来季中に2Aをクリアできれば十分なので、今後どれだけ三振を減らせるか。攻守の理想像は期待を込めてアーロン・ジャッジ。新人王を獲った17年とMVPを獲った昨季はモンスターイヤーで除外するとして、18,19,21年が3年間で15.1WAR。「打率.270・30本塁打・RFで守備プラス」なら年5.0WARを超えそうです。

FV50

3.ブレイディ・ハウス 3B 20歳/2A

21年のドラフト1巡目選手。今季よりSSから3Bにコンバートされています。昨季は背中の故障やコロナ感染の影響もあり不調でしたが、今季は開幕から好調で、A+もわずか16試合でクリア。2Aに異例のスピード昇格を果たしています。ウッド同様に来季中に2Aをクリアし、再来年頃にデビューできれば万々歳です。荒めのパワー特化のアプローチという点も含めて完成型は今季ブレークのジョシュ・ヤン(TEX)と見ています。「25本塁打・OPS8割・3B守備平均レベル」でWAR3.0前後の見込みです。

4.ケイド・カバリ SP 24歳/MLB

今季はローテーションの一角としてブレークが期待されましたが、TJ手術により全休となりました。100マイルの速球に加え、変化球の質も高いです。耐久面と制球力への不安を払拭できるかにかかっているでしょう。将来的な比較対象はWSH傘下出身でもあるルーカス・ジオリト(現LAA)でしょう。18~23年の6シーズンで14.4WAR(年平均2.4)。マイナーでのBB/9はカバリの方が悪いですが、K/9は上なので適応できればトータルでは同じくらいのパフォーマンスができると期待しています。

FV45

5.ヨハンディ・モラレス 3B 21歳/A

今年のドラフト2巡目選手。60ツールのパワーが武器のスラッガー候補で、3B守備も軽快です。大振り&フリースインガーなアプローチからヒットツールを不安視されているので、プロでも大学時代のような打棒を維持できるかが注目ポイントでしょう。パワー特化のバッティングと元SSの三塁手という点でマット・チャップマン(TOR)と比較したいです。さすがにチャップマンほどの守備は期待できませんが、打者としての完成型は近いと思います。

6.ジェーク・ベネット SP 22歳/A+

今季開幕から神がかり的な好投を続けている左腕。完成度の高いワークホースタイプで、球速のレンジは91-94マイルほど。6フィート6の巨体も含めてTEXのジョーダン・モンゴメリー(過去3シーズン2.5WAR以上)が完成型と見ています。最悪でもNYMのジョーイ・ルケーシー(MLB通算5シーズンで4.0WAR)のような先発5番手として戦力にはなるでしょう。

7.ジャクソン・ラトレッジ SP 24歳/3A

巨体から90マイル後半を叩き出す剛腕。今季は2Aで12先発/防御率3.12と結果を出し、3Aに昇格。先発残留の可能性を示しています。とはいえ変化球やコマンドの質が今一つなため、ローテーション上位クラスというよりも4,5番手タイプと見るのが現実的だと思います。若手時代のネイサン・イオバルディ(キャリア最初の6年で12.0WAR)のような防御率4点台の速球派投手が理想の完成像でしょうか。

8.クリシアン・バクエロ OF 18歳/R

21年に契約金492万ドルで入団したキューバ出身のトップアマチュア選手。ダブルプラスのスピードが武器の5ツール候補です。RではOPS.784とまずまずの成績を残していますが、0本塁打・ISO.102とゲームパワーを発揮できていません。参考としてビクター・ロブレスは18歳の時にR/A-でOPS.952、翌年AでOPS.864だったので、パワー面の成長が見られないとトッププロスペクトにはなれないと見ています。

9.ハーリン・スザーナ SP 19歳/A

昨夏フアン・ソトのトレードで獲得した一人。昨夏に加入すると103マイルの速球と95マイルのスライダーでとんでもないポテンシャルを披露しましたが、今季は今一つ。スライダーが80マイル程度に劣化していました。コントロールに不安があり、このままだとブルペンに回ることになりそうです。FanGraphsはLADのブラスダー・グラテロル(MLB通算5年で162登板/防御率3.12、2.5WAR)と比較していましたが、ルイス・メディーナ(OAK)の方がイメージ的には近いかもしれません。

10.ロバート・ハッセル OF 21歳/2A

フアン・ソトの見返りの1人で、ヒットツールが高評価のCFです。個人的に理想の完成型はアンドリュー・ベニンテンディ(CWS)と見ていましたが、ここ2年間2Aで100試合に出場してOPS.620・三振率30.0%と悲惨な数字です。試合を観ていても当てに行くスイングが目立ち、レフトに弱々しい打球を量産しています。このまま打撃に改善が見られないと、ベン・ギャメル(SD)やタイラー・ネクイン(CWS)のようなプラトーンCF止まりになる可能性もあるでしょう。

FV40+

11.デイレン・ライル OF 20歳/A+

21年ドラフト2巡目。ヒットツールが良い両翼選手で、FanGraphsはデービッド・ペラルタ(LAD)やラモンテ・ウェイドJr.(SF)を比較対象に挙げています。今季はAでOPS.891と好成績を残していますが、昨季をTJで全休しているため、本来なら昨季がA、今季はA+でプレーしているはずなので、今季これからA+でどれだけ打てるかに注目したいところです。

12.アライジャ・グリーン OF 19歳/A

22年ドラフト全体5位指名の5ツール候補です。今季はAで三振率42.7%とコンタクト面の不安が的中してしまいました。打球速度112マイルのHRを放つなどポテンシャルも示していますが、個人的に三振率が30%を超えているプロスペクトは信用していないので、現時点での評価は難しいです。

13.トラビス・シッコーラ SP 19歳/R

今年のドラ3。6フィート6の長身から最速101マイルの速球を投げ込む高卒右腕。3巡目で指名されましたが、ドラフトリストではBA36位、公式40位と1巡目クラスの評価を受けています。巨漢の高卒投手という点で、ルーカス・ジオリトのように育成できればいいですね。

FV40

14.コール・ヘンリー SP 24歳/2A

20年ドラフト2巡目。マイナー3年で防御率2.78・K/9=11.3と投球能力は申し分ありません。ですが、健康面に不安があり、先発として稼働できるかが不透明です。万全ならば今のジェーク・アービンと同等かそれ以上の働きが見込めると思います。マイナーでのスタッツはアービン(マイナー4年で防御率3.80・K/9=8.4)よりも上です。

15.アンドリュー・ピンクニー OF 22歳/A

今年のドラフト4巡目選手で、5ツールタイプのアスリートです。ヒットツールに不安があり、ドアスイング気味なスイングも含めて今季大ブレーク中のレイン・トーマスを連想させます。昨季までのトーマスのような「低打率で二桁本塁打をマークするWAR1.0前後の選手」になってくれれば指名順位を考えても十分でしょう。

16.ドリュー・ミラス C 25歳/3A

守備型捕手ながら今季は打撃でも健闘し、FanGraphsのプロスペクトランキングでは6位に抜擢されています。「非力ながらコンタクト&守備力を評価されているやや歳を食った捕手プロスペクト」という点ではジョナ・ハイム(TEX)と重なるものを感じます。ブレークの可能性は秘めていますが、MLBの捕手がキーバート・ルイーズとライリー・アダムスという若手捕手2人にブロックされていて出番が無さそうなのが残念です。

17.トレイ・リプスカム 3B 23歳/2A

22年ドラフト3巡目で、今季2A昇格後に46試合でOPS.860と好調で評価を上げています。攻守にソリッドですが、レギュラー三塁手としては長打力不足が否めません。最近は2BやSSでも出場を果たすなど、複数ポジションを練習中です。元OAK他のチャド・ピンダー(二桁本塁打4回・通算7年で2.5WAR)のような「そこそこ打てて複数ポジション守れるユーティリティープレーヤー」が将来像でしょうか。

18.アンドリー・ララ SP 20歳/A+

個人的にトップ100プロスペクト級のポテンシャルを秘めていると買っていますが、今季はA+で18先発/防御率5.02と浮上できず。まだ20歳と若いので、望みはあると信じています。

19.DJ ハーズ SP 22歳/2A

ジェイマー・キャンデラリオの見返りの1人です。マイナー通算でK/9=13.2と奪三振能力が魅力の左腕ですが、BB/9=5.8とコントロールが悪く、リリーフ転向が濃厚です。BAは現TBのジェーク・ディークマン(MLB通算12年で4.9WAR)と比較していました。

20.ケビン・マデ SS 20歳/A+

キャンデラリオの見返りの1人です。守備力を高く評価されていますが、打撃で伸び悩んでおり、完成型は守備型ユーティリティーとの見立てです。オフに40人枠に入れる必要があるので、オプションが切れるまで(あと3年)に打撃を伸ばせるか。逆に言うと最長であと3年は待てるので2025年中に2Aをクリアできれば十分チャンスはあると思います。

21.アーマンド・クルーズ SS 19歳/A

芸術的な守備が武器ですが、今季AでOPS.564と打撃が弱すぎます。理想の完成像はアデイニー・エチャバリア(14~19年までの6シーズンで5.7WAR)やニック・アレン(昨季OPS.547で0.5WAR)のような守備型レギュラーでしょう。ですが、エチャバリアはMLB昇格の12年に3AでOPS.788、アレンも22年に3AでOPS.730なので、最低でもマイナーでOPS7割以上打てるようにならないとMLBで通用しないと思います。

22.ジェーク・アルー 3B 26歳/MLB

プロスペクトとしては歳を食っていますが、攻守にソリッドなユーティリティタイプです。守備は2B/3Bに加えてLFを無難に守れますが、SSを守れるほどのアスリート性はなく、コンタクト重視な打撃も含めてFanGrahsはジェイス・ピーターソン(ATL)と比較していました。

23.ホゼ・A・フェレラー RP 23歳/MLB

90マイル後半を投げ込むリリーフ左腕で、MLBでは平均球速95.6マイルを計測しています。制球面も安定しているという評価でしたが、MLBでの投球を見る限りはノーコン寄りです。ホゼ・アルバラードやグレゴリー・ソト(いずれもPHI)のような与四球多めのパワーレフティが完成型と見ています。

FV35+

24.イスラエル・ピネダ C 23歳/2A

昨季マイナーで16本塁打を放ち、MLBデビューも飾った強肩強打の捕手。今年は故障により出遅れ18歳の出場にとどまっています。ルイーズ&アダムスの若手捕手2人に加え、3Aでミラスも好調なため、立場が怪しい状況です。

25.ロデリー・ムニョス RP 23歳/3A

6月にATLからDFAされたのをクレームして獲得した右腕です。今季からリリーフに回されていますが、低めのアングルから投げ込まれるシンカー&スライダーはパワフルで、キッカケ次第ではメジャーでも通用する可能性を秘めています。

26.ザック・ブリークシー RP 24歳/2A

昨季マイナー3階級で56登板/防御率1.76と好投した剛腕リリーバーです。今季はTJ手術により全休、来季の復活に期待です。

27.ミッチェル・パーカー SP 23歳/2A

長身オーバースローから角度ある速球を投げ下ろす左腕で、マイナー3年でK/9=11.3と奪三振能力が高いです。ですが、先発としては球速もコマンドも不足しており、リリーフとして昇格を目指すのが現実的でしょう。

28.T.J.ホワイト 1B 20歳/A+

BAのトップ10プロスペクトにランクインするなど期待されたシーズンでしたが、A+でOPS.562と絶不調。いくら70ツールのパワーを秘めているとはいえ、打率.172・三振率35.9%といくらなんでもコンタクト面が酷すぎます。年齢的にはまだ我慢できるので来季以降の開花に期待です。

29.ダレン・ベイカー 2B 24歳/3A

ダスティ・ベイカー(HOU監督)の息子です。コネ指名かと思われましたが、3AでOPS.755をマークするなど昇格間近まで来ました。パワーレスな俊足ユーティリティーということで、トニー・ケンプ(OAK)が成功例でしょうか。(と言ってもケンプはマイナー通算でOPS.810を残していますが…)

30.ジェーコブ・ヤング OF 24歳/2A

俊足が武器の外野手で、昨季52盗塁、今季もすでに32盗塁を決めています。打撃でもA+/2AでOPS.771と結果を出していて、このまま順調に上げていけばメジャー昇格が見えてくるでしょう。

その他の注目選手

20位以降が「プロスペクト」というよりもデプス要員のリリーバーや天井がユーティリティーのプロスペクトばかりになってしまったので、30位から漏れてしまった「プロスペクト」っぽい選手を何名か紹介したいと思います。

①ロイスマー・キンターナ OF 20歳/A

パワーが自慢のコーナーOF。しかしアプローチの荒さが足を引っ張り、今季Aでは66試合で2本塁打と長打力を発揮できていません。

②ジェレミー・デラロサ OF 21歳/A+

パワーとスピードを兼ね備えた5ツール候補も、今季はA+で苦戦。三振率35.3%は完全に赤信号でしょう。

③アンディ・アセべド OF 17歳/DSL

今年1月に$1.2Mで獲得した国際アマチュア選手。リードオフタイプのCFですが、DSLでは38試合/OPS.557と全く打てていません。

④ブレナー・コックス OF 19歳/A

22年ドラフト4巡目の高卒選手。パワーとスピードに光るものがあり、ひそかに期待していましたが、今季R/AでOPS.466と撃沈。

⑤マーカス・ブラウン SS 21歳/A

今年のドラフト5巡目。守備力は良いけど打撃が弱いという点で、20位のマデや21位のクルーズと同タイプ。打てれば評価を上げるでしょう。

⑥ルーク・ヤング SP 21歳/A

22年ドラフト11巡目。長身から威力ある速球を投げ込むスケールの大きい右腕。6月以降は37イニングで防御率3.89・K/9=9.5・BB/9=3.2と好投中。


長文をお読みになっていただき、ありがとうございました。よろしければ「スキ💓」をいただけると、記事作成の励みになります。
Photo:https://twitter.com/Nats_PlayerDev/status/1640780091012665345

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?