カードゲームを作る①〜独自性と基準の設定〜

ご挨拶

 はじめまして。貫通錯誤という(二つ名メーカーにつけてもらった)名前でトビログでライターをやっている者です。トビログは友人が始めた多種多様なライターの集まる雑多な記事掲載媒体のようなものです。是非一度ご覧になってみてください。僕はそこで主にカードゲームについて執筆しております。(といっても、2021年になって始めたものなのでまだまだ記事は書けていません。)
noteではにて執筆した記事を遅れてですが掲載していこうと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。まず初めに僕が執筆しているのが、カードゲーム自作のあれこれについてです。ゲーム、特にカードゲームはプレイするよりも作る方に興味を持っていて、その第一歩としてステイホーム期間中に自宅で密かに制作していたものを公開しながら、その制作過程をまとめております。更新頻度がばらつくことがあるかもしれませんが、気長にお待ちいただけると幸いです。それでは以下より本編です。(なお、noteへはトビログで更新がなされるたびに、最新作の一つ前の記事を掲載いたします。)(念のため付記すると、筆者はmtgとシャドバをメインに嗜む程度にプレイしています。)

1.ゲームの目的

 ゲームを作るにあたって、その目的や表現したいことを明確にすることは、デジタルアナログを問わず、まずとるべき必要なプロセスです。『ゲームメカニクス大全』という、アナログゲームの要素を細かく解説した本の序文には、以下のようなことが書かれています。

ゲームは一つの言語である。しかし、単なる言語ではない。

 ゲームを1つの言語ととらえるなら、ゲームデザインは製作者がプレイヤーに伝えたいことが伝わり、かつプレイヤーの表現に幅を持たせられるものであるべきです。トランプゲームを例にとるならば、ババ抜きは相手プレイヤーの手札の選択、自分の手札の並べ方、相手プレイヤーの手札を「読む」点などに拡張性=各プレイヤーで取れる行動の幅があります。ゲームデザインとは、言ってしまえば拡張性を「どの程度持たせるか」という行為です。世の中に遊びつくせないほどあるゲームを差別化しているのは、当然「ルール」なわけですが、この「ルール」という名の制限があるからこそ、その中で自分らしさを表現することに喜びが得られるわけです。

2.自作ゲーム「インペリオ」(仮称)の紹介

 ここからは僕が作っている「インペリオ」(仮称)というゲームを例にとって、ゲームデザインについて紹介していきます。実を言えばこれが二作目となるカードゲームになります。一作目は多人数戦と「プレイヤーライフ」を存在させないという二点を根底においてデザインしたゲームでした。1.では触れませんでしたが、このように「このゲームでは〇〇を無くそう」という視点がゲームにまとまりをもたらすために重要です。

 少し話がわきにそれました。二作目となるゲームでは、前作が多人数向けだったこともあって、二人対戦にこだわりたいと考えました。次に考えるべきはゲームの独自性をどこに持たせるかという点です。カードゲームを構成する要素は主に言えば「手札」「山札」「ライフ」「マナ」ですが、本作ではこのうち「マナ」の要素を無くすことに決めました。(理由の一つは、自宅で印刷するにあたり、ゲームに必要なカードの枚数が増えることを避けたかったことにあります。マナソースとなるカードを作るとなるとデッキの枚数が膨れてしまいます。本作では一デッキ15枚の山札を想定し、マナの要素を削ることでこれを実現させました。)また、遊戯王との差別化を図るためにも、「1ターン1枚のカードしか使えない」というルールも採用しました。(実を言えば、最初は騎士と騎士が正々堂々勝負するゲームを作ろうと考えていました。それが紆余曲折あって、「正々堂々」の要素が「1ターン1プレイ」に落ち着きました。)ただ、1ターンに1プレイというのは前述した「拡張性」に問題が生じる可能性のあるルールになります。これを対処するために(そして、作ろうと考えていた「騎士」の要素が制度化されて)「皇子」というカード、システムを作ることとしました。ハースストーンのヒーローパワーに近い点もあります。具体的には皇子それぞれが持つ「統率力」を加減させることで一定の効果を発動できる能力を、各ターン1回使えるというものです。これについては次回、具体的に紹介します。

以上のプロセスでゲームの根幹にあるルールが完成します。次回はゲームバランスの設定、具体的には基準となるカードの設計とルールの整備についてを扱います。ではまた。

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