見出し画像

【短歌】青い化粧


雨粒は骨にふれれば焼けさうでさみどりに遠く遠く追ひ


もはや爛々とびらうどを捥ぎ取るかたへのき石に黒く佇むものの


華やげるひとつ小石の行く末に火が溶けさうに措かれあるさま


白濁の羽をひらいた水差しにかざすなら手ではなく破風板を


着実に月が満ちゆく去り際のなんといふ豊かなる遠花火


一房を掴めばきみも佇んでをりしづかなる銀盤のうへ


兆しありて 前髪にいつまでも共鳴せぬ青い化粧を拭ふ


縁側にぜたマシンを抱き寄せてゐるもののけものには似て非なる


ぽたぽたと歩きはじめた添え木には Cornelius は聴こえてゐない


ひと掴みにされたるやうな優しさを文字化けさせてゆく半日で



Cornelius/Point (Remaster)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?