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ことばと、気持ちは、はたして同期するものか。

特に理由もなく、むかし雑誌「ケトル」に連載していた原稿を読み返していたら、ドラマ「カルテット」に触れた回が目に止まりました。

そこで引用したセリフが、いま見てもいいんですよねえ。

「言葉と気持ちは違うの。『こんなのデートじゃないんだからね』って言うのはデートでしょ?『絶対怒らないからホントのこと言って』って言われて本当のこと言ったらめっちゃ怒られるでしょ?それが行間。『連絡しますね』っていうのは、『連絡しないでね』って意味でしょ」

実は僕、会話によるコミュニケーションがそんなに得意ではありません。自分の気持ちを、瞬時に言い当てられない。

片親で一人っ子なので、「人生における会話の総量」が人と比べて少ないのも影響してるのかなあって思います。

特に、口喧嘩のときや仕事などで詰められたとき。相手が強い口調のときにうまくことばが出てきません。

むかしつき合っていた彼女に自分の本心とは違う、「間に合わせのことば」を言ってしまったことがありました。

すぐに「あ、このことばは違う」と思って取り消しましたが、彼女は「そう言うってことは、心のどこかでそう思ってるからでしょ」と、とりつくしまもなく。

そのことばが何だったのか、いまとなっては思い出せませんが、彼女の放ったことばだけは、鮮烈に覚えています。

そう言うってことは、心のどこかでそう思ってるから。

でもね。例に挙げたカルテットのセリフとは意味合いが違うけれど、ことばと気持ちって同期しないことだってあるんだよ。「ことばが心に間に合わない」っていうのかな。

だから僕は、ゆっくりと言葉を紡ぐ仕事が性に合ってるんですよねえ。

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