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フローレンス家の狼執事
Ⅰ
のらりくらり――くらりのらり。のうのうと――うとうとと。
それは風前の灯火ともいえるもので、どうして自分が存在しているのか。
どうして生という名の道筋から未だ踏み外さずにいるのか、まるで分からなかった。
旧い記憶まで探りを入れてみても、あるのは凍原を吹き付ける吹雪の潔白と、冷気が尽く熱を奪い去ってゆく感覚だけ。目蓋の暗闇に映るのは、寒冷を湛えた雪原。
腫れ上がる霜焼けと、頼りない小さな手。臓腑
[CoC小説]不幸なヴィランは水晶に啼く 花は風に撫でられて
※注意
・本作はCoCシナリオ「不幸なヴィランは水晶に啼く」のネタバレを含みます。シナリオ本編通過後に閲覧することを『強く』推奨します。
Ⅰ
大きな壁にぶつかった時、その壁を乗り越えてゆくには時間とナメクジ程度の推進力が必要だ。
逆に言えば、それさえあれば乗り越えられない壁なんてない。
たとえどれほど巨大で絶望的な厚さのある壁だったとしても、時間と前に進むことが出来れば必ず壁は乗り越え
【CoC】【小説】慧可断臂
注 ) 本作は前作【戦戦慄慄】の続編となります。
――信念は決意へ。
研ぎ澄ました心象は、深淵の闇を切り裂く刃と化す。
待ち構える巨大な夜と蠢く陰謀。
行く先はきっと残酷な選択。
それでも構えた刃は――月光に鈍く煌いた。
12/21
19:34分発
――線
――行き
天候 曇り
気温 10℃
――――。
――――。
喧騒が街を支配する。
フラッシュバッ
【CoC】【小説】戦戦慄慄
――ただの押しつけだ。
――ただの自己満足だ。
その本質はどこまでも自分本位で、渦巻いた理性の中にひっそりと隠した利己主義。
獣である枷は決して千切れることはなく、そして誰に解けるものでもない。
僕が人である限り、それはどこまでも付きまとい追いかけてくる。
逃げることはできない。
助かることもない。
縛られている僕達に、逃げ場などあるわけがなかった。
……それでも。
何も知らない赤子の様に何もか