メリークリスマスハッピーバースデーの感想

公演情報

あらすじ

12月25日生まれの、キミは、クリスマスが大きらい。
「毎年、誕生日がクリスマスだから、
みんながクリスマスの分しか祝ってくれない。
自分の誕生日は祝ってくれない。」

キミは、子ども部屋にあらわれたサンタクロースに、今すぐ、サンタの服を脱いで、誕生日を祝ってほしいとお願いする。

ところが、サンタは、本物のサンタクロースではなく、ろうやから逃げてきたどろぼうだったのだ。

さあて、キミはどうなる?
(公式サイト引用)

感想

どろぼうがキミちゃんを騙そうとサンタのふりをする楽しい掛け合い。その中でどろぼうはキミちゃんの両親が忙しくて不在がちで、寂しい気持ちを抱えていることを知る。キミちゃんは「孤独」がよくわからない。寂しい気持ちのことが。

過去の公演作「鍵っ子きいちゃん」のときもそうだったが、子どもに孤独を説明するときに必ず寄り添う大人がいる。そんな温かさが劇団印象さんだなと思う。

二人は歌と踊りの楽しい時間を過ごしながら、胸の内の小さな孤独を和らげていく。互いの寂しさを分からないなりに頷いて、手を取るような優しさがある。ささやかな友情の芽生えに心が温まるのだ。

——クリスマスを盗んでくれて、ありがとう。

サンタだと思っていたのが、実は泥棒と知ったキミちゃんの言葉がこれなのだが、良いなあと思う。これはキミちゃんの寂しい気持ちを盗んで、楽しい気持ちにしてくれた、ささやかなお礼の言葉。泥棒サンタとキミちゃんの気持ちが通じ合う瞬間。とても好きな台詞だ。

ダンスのこと

これまでダンスはカッコいいなと思っても、何処かパフォーマーと観る人で離れた関係にあると思ってた。が、今回の観劇で新たな発見があった。ダンスは魅せるだけじゃない、コミュニケーションなのだ。

キミちゃんとどろぼうは年齢も性別も違うが、とにかくダンスが楽しそう!キミちゃんとどろぼうのダンスは息ピッタリ。お芝居にのめり込みながら一緒にダンスしてる気持ちになるのだ。

童心にかえるような想いがするのは、山村さんのキュートな振付けが為せるもの。ワクワク、元気に!そんな感じが嬉しい。

巷で「ダンスには難しい言葉は要らない」と聞いたところで、イメージが湧くものではないが、今回初めて実感したのだ。

心が躍る、通じる、楽しい空気を持つのは、隣を踊る人がいて、視線が合って、観ている人の心も巻き込んでいく。もしかしたら国境すら軽く超えてしまうのだろうなぁと思って。とても楽しい経験をさせてもらった。

子供向けの公演とありながら、またすっかり楽しませてもらった。来年の公演もまた楽しみだ。

(観劇回 2019/12/14)

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