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境界線

二つの世界の境界には不思議な魅力がある。
世界の複雑さに圧倒されたような、自分が小さくなったような、為す術もなく飲み込まれていくような感覚。

高層ビルで埋め尽くされた隙のない都会と、田舎の祖母の家で見聞きしてきたような人臭い生活。
夢のような世界と湿り気のある現実。

東京にはそんな境界が数多く存在している。
一歩路地を入るともう違う世界にいる。
だけども、なぜかどちらにもリアリティが無くて、なんだか良く分からなくなってきて混乱してしまう。
自分の足元がすくわれて立つべき土台が消えてしまったみたいだ。
東京には何でもあるけど、それは本当に確かなものなのかが疑問に思えてくる。

電車の発車メロディーも交差点や道路標識の地名も天気予報図も、間違いなく東京のものだけど、私はいま本当に東京に住んでいるのだろうか。
そんな風にふと感じたりする。




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