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帰り道

昨日、地面を熱心に見つめる子どもと、その親が会話しているのを聞いた。
親の方は、子どもに歩き出すよう促す声掛けをしていたが、子どもはどうにも動かない。
それどころか「写真撮って!写真撮って!」と、地面を指差している。
どうやら地面に何かいるらしく、親は「えー、写真のフォルダに残るのが嫌だから撮らないよ。早く帰ろう」と、子どもの手を引いている。
「でも、綺麗な色だよ。ほら!こんなに!」と子どもも親の手を引き地面の何かを見せようとしている。
結局親の方が根負けして、写真を撮っていた。
私がそこを通り過ぎる時、ちらと地面を見ると赤っぽい毛虫がにじりにじりと歩いていた。

私が通り過ぎた後も、親子はしばらく毛虫の行方を見ているようであった。
「毛虫さんがんばれ!」「かわいいなあ」「今日はついているね!」と子どものはしゃぐ声が聞こえていた。


今日同じ道を歩いていると、昨日の毛虫が潰れていた。何とも言えない気持ちになった。

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