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P10 暴露療法について

(めちゃくちゃ独断と偏見に満ち溢れてますので、この後に書かれている事は正解ではありません。あくまでも僕の個人的な見解と感想です。あしからず。)


お薬の服薬と同時並行で知ったのが、パニック障害のリハビリの一つ暴露療法。

そのやり方を初めて聞いた時は唖然としました。

電車に乗れないなら電車に乗りましょう。

車に乗れないなら車に乗りましょう。

レジに並べないのならレジに並びましょう。

美容院に行けないのなら美容院に行きましょう。


本当に「アホなの?」って思いました。

できないのよ!
できないから困ってるのよ!
それをやれって言われても…。。


このリハビリ法を知ってからも、しばらくは取り組むことはありませんでした。
ってか無理ですよね。
外に出るだけで精一杯でしたから。


まぁそれでも取り組み始めたのには理由があります。
それは「薬だけの治療の限界」を感じだから。

確かにお薬を飲めばうつ症状もパニック症状も改善は見られました。

でもそれは、最低限生きているってだけの事に感じたんです。

もちろん担当医と話をして、お薬を変えてもらったり、量を増やしてもらったりとしてはみました。
一時は「漢方薬」専門の薬局に通って、調合してもらった漢方薬を飲んでた事もあります。(めちゃくちゃ高くて続かなかった)


それでもやはりジリ貧感は否めず、何か他の次の手を打たなければ!と思い、暴露療法に取り組む事にしました。


いきなり電車はどう足掻いても無理だったので、まずは一人で家を出るところからのスタートです

当時住んでいたマンションの5Fから1Fに一人で下りること。
これをエレベーターと非常階段とで交互に行います。

1Fに一人で下りることができるようになったら、次は近くのドラッグストアかコンビニに入って出てくること。(買い物はしない)

それができたら次は少し遠い(と言っても200mくらい)スーパーマーケットに入って出てくること。

次はコンビニで、人の並んでないレジで買い物をして帰ってくること。

次はスーパーマーケットの人の並んでないレジで買い物をして帰ってくること。

コンビニで少し人の並んでるレジで買い物。

スーパーマーケットで少し人の並んでるレジで買い物。

スーパーマーケットの人がたくさん並んでるレジで買い物をして帰ってくること。


と言った感じで、少しづつ少しづつハードルを上げていき、外出と外での閉鎖的空間への不安感を徐々に取り除いていきます。

ただし、先に書き上げたように簡単にとんとん拍子とはいきません。
上手くできないこと、失敗もしばしば。
不安感に勝てずにミッションをクリアできずに帰ると、本体に辛く悲しく自分に対する怒りで自暴自棄になった事もありました。


それでも少しづつ、電車も一駅なら乗れるようになり、次は二駅三駅と増やしていくこともできるようになりました。
(電車リハビリで一番苦労したのは「自動改札で一度入ると、同じ駅で自動改札では出れない」と言うことでした。
これが本当に辛かった。
同じ駅で出ると言うことは、リハビリに失敗していると言う状況です。
もうめちゃくちゃしんどいわけです。
そんな状態で駅員さんに改札を出る理由を説明しなければいけないのです。
もちろんパニック障害で〜などと長々と説明はできませんので、「忘れ物をした」と言って出させてもらうのですが、長時間駅のホームで電車を見送っていると怪訝な顔で聞かれるんです。「どこか他の駅に行ってませんでしたか?」って。
要はキセルを疑われる。
これが嫌で頑張って一駅移動したこともありました。
辛かった。

2022年現在は自動改札で入っても自動改札で出れるようになりました。
おそらくは駅ナカでショッピングしてくださいねって事なんだと思いますが、パニック障害持ちの方にはとっても助かるシステム変更でした。(ただし入場料は取られます))

電車に少し乗れるようになってきたと同時くらいに、バスにも乗れるように、乗るようになってきました。

この辺りは不思議なもので、一つの場所に対して広場恐怖や予期不安が減ってくると、なぜか他の場所でも同じような感覚が味わえるようになったのです。

電車---バス
コンビニ---スーパー

感覚として似ていると感じた状況は、どちらかがクリアされると自然ともう片方もクリアできるようになっていきました。
ただしこの感覚は個人差も大きいと思います。
僕の周りでも、バスは乗れるけど電車はダメとか、コンビニはOKだけどスーパーひNGとかいらっしゃいます。
個人の感覚の部分が大きいところだと思うので、人それぞれなのではないでしょうか。

それなりに電車に乗れるようになるまで数年。


行動範囲が少しずつ広がってきた僕が次に行ったのは、「遠くのテーマパークへ行くこと」でした。

この頃にはデイケアにも通っていたため、仲良くなったデイケアメンバーを誘って動物園や美術館に行ってみました。
なぜ動物園や美術館なのかと言うと、障害者手帳で割引きが適用されたり無料で入場させてもらったりできたからです。

ここでのリハビリ対策ポイントは2つ。

1つ目は「園内の案内図をしっかり覚えること」です。

もちろん全部は覚えられないし覚える必要もありません。
抑えるべきは「トイレ」と「休憩所」と「医務室」です。
要は体調が悪くなった時の逃げ場を予め確認しておくこと。
これが何かあったときにの安心感につながり、予期不安や広場恐怖も抑えられたのでした。

2つ目は「最寄のクリニックの場所を覚えておくこと」です。

こちらも考えとしては同じですね。
より強い逃げ場の確保です。
理想はメンタルクリニックですが、近くに無ければ外科でも内科でもOK。
緊急避難場所です。


遠出をする時はこの2つは必ずチェックして出かけるようにしていました。
幸いな事に2つとも役に立った事はありません。
それなりの準備と、体調を整えて挑んでいたので、発作を起こすこともなく各種テーマパークを「それなりに」楽しめたのだと思います。


少し長くなってしまいました。
一人で暴露療法、リハビリは本当に大変だと思いますし、実際大変でした。
しかし、その大変さに見合ったリターンは得られたと思っています。
行動範囲の広がりは、僕の人生をより豊かにしてくれました。

もちろん2022年現在もリハビリは続いています。
飛行機にも乗りたいし、船旅なんかもしてみたい。
海外旅行もいつかは楽しみたい。

そのためには日々のリハビリの積み重ねがとても大事になってくると、今は確信しています。
もちろんお薬にも頼りながら。

先は長いです。
リハビリが終わる前に人生をが終わってしまうかもしれません。
それでも良いと思っています。
何事も諦めたくはありませんから。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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