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あとがき 【Play back Shamrock #19】

※ご注意※ 本連載は2020年に経験した出来事を1年後に振り返る趣旨で公開しており、掲載の情報等は2020年当時のものです。また、第10回以降は当初の公開予定よりも大幅に遅れて公開に至りました。

(見出し画像:はしがきの見出し画像に同じ。ダブリン近郊の某所にて撮影)

 一連の行程が終了し、今回は長い旅路を振り返って感じることを総括して連載を締め括ることとしたい。

時間にも予算にも余裕がない中、資源は比較的フルに使えたのではないか
 あくまで今回のプログラムは週に5日、大学内の語学研修施設でアカデミックイングリッシュや各種のスキルを習得することが第一だった。少なからず課題も出されタイトなスケジュールとなる中で、合間を縫うように各地へ赴いた。海外に日帰りで出かけるなど日本で生活する上では常識的にほとんどあり得ないようなことも複数回あったが、予算をやりくりする上でもやむを得ない側面があった(裏を返せば、その分様々なところに行けたのは確かだ)。この点、アイルランド渡航前にロンドン周辺を訪れたのは時間とお金の使い方として悪くなかったと思う。
 学生としての本分を全うすることと、旅人として様々なものを五感で感じ歩くことの両立は、決して簡単なことではなかった。しかしそれら全てが1年以上を経た現在でもフレッシュなまま我が身に記憶されているということは、有意義な時間を過ごしたことのこの上ない証左なのではないか。
 最も印象に残っている訪問先は順番に、ベルファスト(北アイルランド)・湖水地方(イングランド)・キンデルダイク(オランダ)の3カ所だった。ベルファストはこの次のパートでも言及するのでここでは保留するが、湖水地方やキンデルダイクのような世界的に有名な美しい場所を訪れることができたのは非常に光栄なことだった。これら以外も含め、何度でも訪れたいと思う場所は数えきれないほどあった。

目の前で繰り広げられた歴史的な出来事の数々が与えたインパクトは大きかった
 期間中、意図したか否かを問わず、世界史に名を残すような出来事を海外の地で次々と経験することになったのも特筆すべき点だった。プログラム参加の動機にもなった英国のEU 離脱=Brexitを北アイルランドで目撃したことは間違いなく序盤のハイライトになった。その時・その瞬間にしか目にできない歴史的な出来事を目撃したことは、私の人生にとっても大きな経験になった。
 そして最終盤の新型コロナウイルスの世界的な感染拡大。離れた地で大変な経験をしたのももちろんだが、それと合わせて強く感じたことは、あたりまえに思っていた日常がいかに儚いものであるかということだった。大学が閉鎖された3月12日を境に、それまでの日常は幻であったかのように消え去ってしまった。海外の大学で過ごすという非日常の中にも、日常のありがたみを想起するのだった。
 この原稿を執筆している時点でも新型コロナウイルス禍は収束が見えていない。この新しい現実を前にして私たちはいかに行動していくべきか、その問いの真価が発揮されるのにはまだまだ時間がかかるのかもしれない。大きな宿題を突きつけられた格好だ。

世界に学びを求め続けるということ
 今回は10週間という短すぎることもなく、他方で長いとも言えない絶妙な期間、海外に滞在することになった。その中で今後も海外に学びを求め続けることへの思いも再確認することができた。海外で学ぶことそれ自体が目的になっては本末転倒にもなりかねず、日本国内での学びをまずは形にするということは揺るぎない優先事項だ。しかしそれと合わせて、今後もグローバルな学びの中であらゆる面で刺激を受け我が身の血や肉としていくことにも貪欲に取り組んでいきたいと思う。
 また今回は英語で学ぶことよりも、英語を学ぶことがメインだった。今回見えてきた語学上の課題にも取り組みつつ、今後は英語で学ぶことにも果敢にトライしていきたい。そのモチベーションを得る機会として、この上ない経験になったと確信している。そして日本での学びと海外での学びが相互に結びつくことによってこそ、今回の成果が十分に実を結ぶことになるということは今後も意識しなければならないだろう。

 以上、プログラム全体を総括した所感を簡単にまとめた。一連の日程の中でご協力いただいた全ての方に感謝を表明して、本連載の筆を置くこととしたい。【完】

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