帰国子女で良かった点、悪かった点

僕は90年代にアメリカに4年半住んでいました。場所はテキサス州ガルベストンという、NASAで有名なヒューストンに隣接する海に囲まれた街でした。

そんな帰国子女である僕ですが、皆さん帰国子女にどんなイメージがありますでしょうか?

多くの方は「羨ましい」とか「かっこいい」と思うかもしれませんが、僕は正直かなり苦労しました。

今回はそんな帰国子女である僕が体験した帰国子女で良かった点、悪かった点を書いていきたいと思います。

良かった点

以下です。

・英語が喋れる
・アメリカ人の考え方が何となく理解できる
・英語の文献や情報に不自由なく触れられる
・映画が字幕なしでも観れる

英語が喋れる

僕があちらに住んでいたのは4-9歳。かなり小さな頃だったせいか、渡米して1ヶ月くらいで喋っていたそうです。子供の頃の頭の柔らかさは侮れませんね。

英語が喋れると外国人とスムーズにやり取りできるので、貴重な情報に触れられるチャンスが多くなります。

アメリカ人の考え方が何となくわかる

厳密に言うと「文化背景がスムーズに理解できる」が正しいかもしれません。

アメリカの歴史の授業もあちらの学校でたくさん受けましたし、何より毎日アメリカのテレビを見たり、現地の同級生と話したりしていたので、アメリカ人のノリや価値観は、何となく理解できます。

小さな頃にアメリカ文化に触れていた、というのも文化背景を良く理解できる一因かもしれません。アメリカ文化を理解できるとニュースの理解や、映画や音楽の理解が進んで、より娯楽として楽しめるので、これは良い点です。

英語の文献や情報に不自由なく触れられる

これはけっこう大きいかもしれません。医学系の文献は単語が難しいので、それなり苦労はしますが…

音楽のニュースやネタは、海外サイトから拾ってくることが多いです。どうしても音楽はまだまだアメリカやイギリスがトップを走っていますから、情報は早いに越したことはないです。これは今後も続けたい習慣ですね。

今後は音楽以外の世界のニュースも、もっと英語で読んでかなきゃいけないなぁ、と思っています。

映画が字幕なしでも観れる

厳密に言うと固有名詞や流行り言葉が出てくるとちょっときつい瞬間があるのですが、ほぼほぼ字幕なしで観れます。

日本語字幕って、時に少しニュアンスが違っていたり、スペースの都合上省略されていたりする部分があったりするので、字幕なしで観れると洋画が100%で楽しめるのが利点ですね。


…さて、こんな自慢話っぽいのは、もう終わりにして悪かった点を書きたいと思います。
#ここからが本題

悪かった点

以下です。

・帰国したては主に漢字などでとても苦労した
・日本文化に馴染めず、実は今も続いている
・人間関係の構築の仕方が日本とアメリカでけっこう違うため、帰国後やり直しになった
・日本に馴染めない感じがするのに、かと言ってアメリカに行ってもストレスがある

帰国したては主に漢字などで苦労した 

漢字もですが、熟語とか日本語独特の表現が分からず、かなり苦労しました。親にも良く「たかのりは熟語表現とかが本当に弱い」と注意されました。

日本語表現がわからなかったせいで、人間関係であらぬ誤解が生じたり、また勉強にも弊害が出たりしたことは間違いありません。

また咄嗟に日本語で出ない単語を英語で言ったりしてしまい「かっこいい」となればいいのですが、すごく変な空気になることが多かったです。
#Eraser(消しゴム)を拾ってと言ってめっちゃ変な空気に
#その後「なんだよイレイサーって」ってクラス中に笑われた

言語の壁って厚いですよね…

日本文化に馴染めず、実は今も続いている

これが一番辛い点かもしれません。

一度海外に住むと、どうしても日本独特の文化にめちゃくちゃ自覚的になります。特にいき過ぎた礼節や空気を読み過ぎる文化に多くの日本人自身が悩まされていると思いますが、多分帰国子女の多くは、より強く感じていることと思います。

帰国してかなり経ったのでもう慣れてはいるし、その中での自分の振る舞い方は会得していますが、どこか日本に対して常に窮屈な印象があるのは間違いありません。

「イジる」という文化も今は信じられないことですがアメリカには(基本的には)ない文化なので、理解できずけっこう苦しみました。今は本当に考えられないですが、帰国したてはテレビが差別で満ちていると感じていた時期がありました。

人間関係の構築の仕方が日本とアメリカでけっこう違うため、帰国後やり直しになった

アメリカも、閉鎖的な部分はとても、閉鎖的です。トランプ政権を見てそう感じた方も多いと思います。

しかし基本はオープンでフレンドリーで、始めから割と気さくに話すことができる人が多い印象です。
#多民族国家だから逆にそうでないと成り立たないからだと思います

なので、入りのフレンドリーさの違いや距離感の詰め方の違いは、結構慣れるのに苦労しました。最初は良く「櫻井は馴れ馴れしい」と言われることもありました。なので、初めて喋る際は丁寧に接することを心掛けるようになりました。

逆に「過度に丁寧過ぎる」と言われることがたまにあるのですが、これはそのためかもしれません。

日本に馴染めない感じがするのに、かと言ってアメリカに行ってもストレスがある

これはショッキングでした。

僕は日本に帰国して最初に入った学校は、馴染むことができず、結局「帰国子女学級」がある学校に転校しました。

そこにいる多くの帰国子女たちは「元々いた国に戻りたいなぁ」と良くぼやいてました。アメリカの帰国子女が大半でしたが、オーストラリアやイギリス、アフリカ(!)の帰国子女たちがいる学校でした。

僕も同様に「アメリカにいつか戻りたいなぁ」とずっと思ってたのですが、帰国後に家族でアメリカ旅行に行った際に衝撃を受けました。

「あれこんなに店員さんの態度悪かったっけ?」とか「あれこんなにトイレ汚かったっけ?」など、日本で当然のように享受していた物事がアメリカにはないことを知り、再び、今度はアメリカに対しカルチャーショックを受けたのです。

「あっちに戻ったらさぞかし居心地がいいだろう」と淡い期待していたので、谷底に落とされた気分でした。我儘な話であるのですが…

まとめ

僕は結局アメリカ人でも日本人でもないという不思議なアイデンティティを形成して今に至ります。

僕のような体験をしている帰国子女やいわゆるハーフの人たちについて書かれている本もありますので、良かったら読んでみてください。確か和訳の本もあったと思います。↓
『Third Culture Kids』
https://www.amazon.co.jp/Third-Culture-Kids-3rd-Growing/dp/1473657660

暗いことばかり書いてしまいましたが、プラスに捉えると自分には「日本人でもアメリカ人でもない独特の視点がある」ということです。出来るだけこれを上手に医師業や音楽に使っていきたいな、と思っています。

本日も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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