マタニティブルーの正体、それは感情の矛盾

子供がほしい、

そう思っても簡単ではない。

物を買うとは根本的に異なるので、手に入れる前も手に入れた後にも大きな責任と不安、いくつかの不自由が伴う。

私もそうだった。

の記事で述べていた通り、ある日母性が私に芽生えてから強く、だけど漠然と子供が欲しかった。
「子育てって大変なんだよな」「独身の時のような生活は出来ないんだよな」
くらいしかイメージ出来ていなかったし、実際妊娠が発覚するまでは日々の生活に忙殺されてしまっていて妊娠、出産、子育てについて先回りして調べたり備えておくなんてことはしてなかった。

考えてみれば不思議だ。結婚でさえ、独身で結婚の予定がない時から結婚資金や結婚積立などといって貯蓄したり、花嫁修行といって準備するのに、出産子育てについてはいきなり無防備になってしまっている。費用も期間もずっと長いのに。

そして突然訪れる子育て開始合図の陽性反応。

もちろんいつかは…と思って結婚生活を送っていても初めて気づくさまざまな「現実問題」が妊婦を襲う。

キャリアの問題

まず妊娠期から仕事が満足にできなくなる。妊娠が発覚した時点で、新しいプロジェクトには入れない。数ヶ月後には長期で離脱するからだ。育休、産休で1年以上離脱する不安もある。
こんな想定は新卒の時や就活、転職活動の時は想定できていなかった。正確に言うと想定しても仕方なかった。

生活のための仕事、やりがいのための仕事、ひとそれぞれ働いている理由があるだろうが今後働くためには子供や生活費を犠牲にしなければならないのは苦しい。では働かないのか?それでは今度は家計が苦しい。その板挟みで悩む。

経済的な問題

今までは自分が働いた分だけご褒美で少しいいものを食べたりいいものを買ったりできた。時には国内外の旅行も楽しむことができた。でも、妊娠に係る費用、出産に係る費用、そしてこれから子供に係る費用を考慮してこなかったからだ。これからはいつ働けるかも、働けても同様に稼げるかもわからない。確実に収入が減る中で(夫の収入が突然倍になることはなく笑)絶対的に出ていく費用は多い。
この問題の根深いところは、「出ていく費用」が算出されにくい。理由は、就職よりも結婚よりもそれぞれがおかれている環境がさらに多種多様だからだ。言い換えれば、家庭ごとに違ってアテにならないから共有されていないのだ。

これからは自分が自由に使えるお金はきっとほとんどない、それどころか今までの2人の生活を見直さなければ家計がショートしてしまうことが容易に想像つく。稼げない自分に焦り、今まで通り過ごそうとする夫に苛立ってしまう。

時間の問題

妊娠すると、お腹が大きくなって動作が遅くなる。ひとつひとつが今までかかっていた時間の倍くらいかかるのではないか。
そんな効率がさがった状態で仕事(引き継ぎなどで仕事量は増える時もある)や家事をこなし、産後必要な物を調べてそろえて、さらには妊婦検診のため病院通いも始まる。時にはそのまま即入院!と言われるのでその心配をしながらも過ごさなければならない。「無理をせず休みなさい」と口酸っぱく言われる。健康な母体でいるための当たり前のことなのだが、やっておかなければならないことや考えることが多すぎて休んでるヒマがない!が本音だ。

気持ちの問題

上記のこと諸々色々不安なのに「不安だ…」ということを公に言いづらい。なぜなら、妊娠はおめでたい幸せなことだからだ。また自分が背負っているものは他でもない何事にも変えられない尊い命だからだ。

不安だ、つらい、やめたい、なんてネガティブな言葉は吐けない。キャリアやお金の話なんてとてもじゃないけど引き合いに出せない。

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無論、元々このような問題を見聞きしている人たちは初めから子供をつくらないという選択をしているかもしれない。

私がこれらについて1番つらいと感じるところは、この問題が女性の人生の中で高いハードルになっていること、そしてこの問題の解決策が見つけられていないことだと考える。もし、このハードルが難なく飛び越えられるくらい低いハードルだったら避けて通らないし、不安も感じにくいだろう。

今までも「出産適齢期と女性のキャリア」については大きく話題になってきていたが、実はその次に直面するこれらの問題は意外と見過ごされてきていた気がする。

私は、自分の感じた不安を他の妊婦は感じないように、今まで恋に仕事に頑張ってきた女性が自分のことを「準備不足」だと言って責めたりしないように、問題のハードルを下げる仕組みをまずは作りたいと強く思った。

すぐに解決策に結びつくかは分からない。

けれど、人生で初めて不安になった記念としてこの問題意識をモチベーションに変えて、なにかアクションを起こしたいと思った。

これは、そんな私の創業前の決意表明。

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