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秋雨と帝国ホテル

10月某日。インペリアルラウンジアクアで『CORONATION AFTERNOON TEA』を堪能してきた。
帝国ホテルに足を踏み入れるのは大学の卒業パーティー以来だ。あの時は「おらのような平民がこげなホテルで過ごせるのは今夜限りだっぺ」と思っていたので、再び巡ってきた奇跡に感謝しながら正面玄関を潜った。

シャンデリアと装花の対比が良いなあ。

目的地は17階なのだけれども「平民がずかずか入ったら屈強なガードマンに連行されるかもしれない」と考え、ホテルマンにエレベーターの場所を尋ねたところ、柔らかく、朗らかに案内してくださった。
大学の時も思ったのだけれど、帝国ホテルのスタッフさんの接遇態度はなんともたおやかである。おいらかと言っても良い。知らない人なのに、話しかけた側がホッと安心してしまう魔法を身にまとっているのだ。これがインペリアル仕草ってやつかしらん。

エレベーター内の装飾の優美さ……(写真が下手なのはお許しを)
美女と野獣の薔薇のよう。綺麗だ。

目的地到着! 晴れてよかった! ※一時間前まで土砂降りだった。

ラウンジは広く、テーブルも程よく離れており、とても快適だった。
店内BGMが流れていないのだけれど、人の話し声が全く気にならない。それどころか眠気を誘われるほど心地よい。うーん、すごい。
席に着くと、ホテルスタッフさんがこれまた優美な仕草で銀食器などなどを整えてくれる。

ぴかぴか光る銀食器を眺めながら「ダウントンアビーでカーソンさんが磨いてたやつだ」と思った。
私は動揺した。ここのところ、こういう洋食器を手にとる機会がなかったからだ。

私「タイタニックでは端から使うと習ったけれど……」
友「ここにある三本を普通に使えばいいんだと思うよ」

と返す友達のまなざしは冷静だ。彼女は落ち着き払って机上のメニューを開いた。そしてわなわなと震え始める。

友「どうしよう。知らない紅茶がある」
私「(なんだ、こいつもやはり動揺していたか)どれどれ」
二人で【TEA(紅茶)】の場所を覗き込む。ダージリ、アッサム、ウヴァ、ディンヴラ……しれっと並んだ後半二つ、聞いたことも見たこともない名前だぜ……!
私たちはビビリだが適当な女子でもあるので、慄きながらも「まあ頼めば分かるやろ」と忘れることにした。

目の前に、それはそれは美味しそうなチョコケーキが置かれたからだ!

スティッキー・トフィー・プディング!

チョコレートプディングにバニラアイス(なぜか形が崩れない)がのっており、上からたっぷりチョコレートソースがかかっている。プディングはしっとり弾力があり、チョコレートがたっぷり絡み合ってるのにあっさりした甘さで、いくらでも食べられる。
ウェルカムティーのプラチナメモリアルブレンドの飲みやすさに感極まっているところへ、ティースタンドがやってきた!

キャー!
みて!
うぉおおお!
何これええええええ!
すごすぎるううううう!

あまりのまばゆさに、私たちは完全に正気を失った。正直、お互い何を言っていたか覚えていない。とにかく見る・食べるに夢中だったのだ。
食べながら写真は撮ったけれど、気がそぞろだったのでぶれっぶれだ。
私は甘い・しょっぱいを繰り返したかったので、スイーツを食べたらカレーを一口掬った。幸せだった。

私は今まで紅茶というものはすべからく飲み終わりはえぐみがあるものだと思っていたが、それは間違いであった。
世界に名を馳せる紅茶は喉越しがよく鼻に抜ける薫りも豊かだ、いくらでも飲めてしまう。ちなみにウヴァを頼んだところ、真紅の色が本当に美しかった。
最後の方で頼んだブレンドコーヒーとチーズスコーンがすごくすごく合っていた。更にチーズスコーンにはちみつをつけて「クーッ」という声が出るほど美味かった。

友達と二人でめちゃくちゃ幸せになってしまった。

ふかふかのソファでくつろぎ、極上のスイーツや軽食をつまみながら、お茶はおかわりし放題! 素敵な空間で3時間のんびりできてしまう!
清水の舞台から飛び降りるような気持ちで予約してみたけれど、普通に遊びに出かけたらこのぐらいの出費はあっという間にしてしまうので、逆に安いのでは……? と思い至った。

なので早速実家の母に「ねえねえマミ(私はいろんな呼び方で母を呼ぶ)、お正月に帝国ホテルでアフタヌーンティーしよう。私がネットで予約を取ってあげるからサ」と誘いをかけた。快諾を得たのでにんまりしている。
さて、素敵な休日のために、今週も働いていこう。

おまけ:『帝国ホテル』のお砂糖

シュガーポットに色とりどりの袋が入っていたので、不思議に思った私は一つずつ並べ、驚愕に陥った。
普通の砂糖、ブラウンシュガーで終わらず、さまざまな体の事情に合わせた砂糖がご用意されているだと……!?
帝国ホテルのおもてなし精神に脱帽しっぱなしの私であった。

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