少女レイ
相手の目を見て、相手が不快になはない程度の質問を、自己開示しつつ投げかける。引き出しを引くように、その人が何を求めているのか探る。私の思惑に気づかれないように、相手の空っぽな部分を埋めてあげる。
そうすると、その人は「この子しか自分のことを理解してくれる人はいない」と錯覚する。
これは水商売をやって学んだこと。
そんなのに引っかかるやつ居るの?って思うでしょう。
人間は思っている以上にシンプルで、寂しがりなのだ。
そして、私ももれなくその対象に含まれている。
お金を稼げるようになった。
時給1万以上貰えるくらいには痩せたし前より可愛くなったと思う。
でも満たされなかった。
今彼から離れても、社会的に何不自由なく生きていける。
でも私に残るのはいつか賞味期限が来る見た目とお金だけで、ずっと満たされない気がしてしまうのだ。
結婚や出産に焦らなくなった、というより憧れを持てなくなったのはいつからだろう。
「まだ若いからそう思うだけ」「結婚した事ないくせにそんなことを言っているな」といつまで言われ続けるだろうか。
体裁的なことよりも、私は彼にとって必要不可欠でありたかった。
要る要らないの基準ではなくて、愛されたかったんだと思う。
そんなことを伝えると恐らくものすごく怒られるか見捨てられるので今日も泣きながら辛抱する。捨てられるとわかっていて好きでいる私はなんなんだろう。
一通り泣きからしたあと、私はよく『魔女の宅急便』のキキのように音楽を聴く。
何だか馬鹿馬鹿しくなってきた。
若いうちしかできないってなんだろう
私は幸せになりたい訳じゃない、なんで生きているんだろうと虚しくなりたくないだけだ。
「○さんは大人になりきれてない少女みたいな感じがする。僕はそのままでいて欲しいと思う」
そう言われた。
モラトリアム人間ってことか?とひねくれた解釈もつかの間、あながち間違いではないと思った。
もうすぐ25歳になるというのに私はまだ大人になりたくない。でも子供とは到底言えない程に汚い大人を沢山見て、嫌な世界をしって、笑顔の仮面を貼り付けて生きてしまった。
そんな世界に1人ぽつんと取り残されているようで寂しい。
君にだけは味方でいて欲しいと願うけれど、君は君の人生を生きるのに忙しそう。
他人からの評価と自認が食い違っていて苦しい。頑張りすぎと言われることの方が多いのに、頑張れなくてごめんなさいといつも心の中で謝っている。
私が居なくなったって、君は魅力的だからいくらでも代わりになる女の子がすぐできると予想できるのが寂しい。
どうせならとことん、空っぽを埋めてよ。
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