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バングラデシュ映画

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知られざるバングラデシュ映画の名作・傑作を紹介します。
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国際母語デー(International Mother Language Day)がなぜ2月21日なのか:『Fagun Haway』〈春を告げる風に〉

初出:ブログ『インド映画の平和力』2022年5月6日付   1民族に1言語、すなわちヒンドゥ教徒だけが暮らし、ヒンディ語だけが使われるインド。  インドの現与党・インド人民党(BJP)やその母体・RSS(民族奉仕団)ら、ヒンドゥ右派勢力が理想とする Hindu Rashtra (ヒンドゥ国家)とはこういうものである。  多様性こそが国力の源泉であり、比類のない魅力であるインドを、そんな単細胞国家に矮小化することの、いったいどこがおもしろいのか、私は微塵も理解できないが。

イスラーム映画の正しいつくり方②

イントロダクション 全編を通じ、映画からの引用は論旨と直接関係のない部分を省略しています。  今回は、バングラデシュ映画というとき、何よりも先に知るべき劇映画の名作を紹介しています。  いちおう予告編もつけましたが、本作のシネマトグラフィの美しさが、ほとんど反映されていません。ですので、DVD でご覧になることを積極的にお勧めします。英語字幕つきで、メイキングなど資料映像も充実していますので。ただリージョンコードが北米仕様の「1」ですので、再生環境にはご注意ください。 タ

バングラデシュ映画界期待の Amitabh Reza Chowdhury 監督『Rickshaw Girl』〈リキシャ・ガール、2021〉

初出:ブログ『インド映画の平和力』2022年4月26日付  バングラデシュの主要英字紙『Daily Star』を眺めていたら、5月5日にニューヨークで『Rickshaw Girl』〈リキシャ・ガール、2021〉がプレミア予定という記事を見つけた(2022年4月25日付)。  そうそう、これも半年ほど前に話題になっているのを見て、どこかで紹介しなければという頭ではいたのだ。そのとき聞き覚えのあるタイトルだと思ったら、『リキシャ・ガール』(ミタリ・パーキンス、永瀬比奈=訳、ジ