さこう ますみ SAKOH Masumi

ジャーナリスト。主著『在留特別許可 アジア系外国人とのオーバーステイ国際結婚』(共著、関口千恵名義 明石書店)が原点。2009年、女性人権活動奨励賞。note は「インド映画の平和力」 https://blog.goo.ne.jp/sakohm27 との連携から。

さこう ますみ SAKOH Masumi

ジャーナリスト。主著『在留特別許可 アジア系外国人とのオーバーステイ国際結婚』(共著、関口千恵名義 明石書店)が原点。2009年、女性人権活動奨励賞。note は「インド映画の平和力」 https://blog.goo.ne.jp/sakohm27 との連携から。

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国際母語デー(International Mother Language Day)がなぜ2月21日なのか:『Fagun Haway』〈春を告げる風に〉

初出:ブログ『インド映画の平和力』2022年5月6日付   1民族に1言語、すなわちヒンドゥ教徒だけが暮らし、ヒンディ語だけが使われるインド。  インドの現与党・インド人民党(BJP)やその母体・RSS(民族奉仕団)ら、ヒンドゥ右派勢力が理想とする Hindu Rashtra (ヒンドゥ国家)とはこういうものである。  多様性こそが国力の源泉であり、比類のない魅力であるインドを、そんな単細胞国家に矮小化することの、いったいどこがおもしろいのか、私は微塵も理解できないが。

    • 谷桃子バレエ団のチャレンジ

       以下の記事を書いた当時から予感していた。YouTubeには「バレエをもっと日本に広めたい」とか「バレエの魅力を知ってほしい」と言う日本人ダンサー個人による動画も散見されるが、そういう目的に奏功しつつあるのは、谷桃子バレエ団のみ。そう断言してよい現状だろう。 初出:ブログ『インド映画の平和力』2023年8月7日付  ダンサー・田中泯のドキュメンタリー映画『名付けようのない踊り』(2022)のレビュー(『週刊金曜日』2022年1月28日号)では、紙幅の関係で、わずかな言及に

      • バングラデシュ映画界期待の Amitabh Reza Chowdhury 監督『Rickshaw Girl』〈リキシャ・ガール、2021〉

        初出:ブログ『インド映画の平和力』2022年4月26日付  バングラデシュの主要英字紙『Daily Star』を眺めていたら、5月5日にニューヨークで『Rickshaw Girl』〈リキシャ・ガール、2021〉がプレミア予定という記事を見つけた(2022年4月25日付)。  そうそう、これも半年ほど前に話題になっているのを見て、どこかで紹介しなければという頭ではいたのだ。そのとき聞き覚えのあるタイトルだと思ったら、『リキシャ・ガール』(ミタリ・パーキンス、永瀬比奈=訳、ジ

        • 『週刊金曜日』12月1日号でレビューしているドキュメンタリー『メンゲレと私』には、「ランベス・ウォーク」が流れる一幕も。日本でも愛される英国ミュージカル『ミー・アンド・マイガール』の代表曲だが、当時の英国が作った戦争宣伝映画にも使われ、ナチス宣伝相ゲッベルスを激怒させたそうだ。

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        • バングラデシュ映画
          3本

        記事

          【私のバングラデシュ・クロニクル】

          グラミン銀行が危ない《初出: 『週刊金曜日』2013年2月15日号、境分万純名義》  バングラデシュは今年(2023年)から来年にかけて、国政選挙をひかえている。  そうしたなかで、2006年労働法によってダッカで起こされた刑事裁判が、国際社会の憂慮を集めている。被告人のひとりが、先の7月にも講演などで来日した、グラミン銀行創設者で、2006年度ノーベル平和賞受賞者のムハマド・ユヌス教授だ。  9月中旬には、国際人権NGOのアムネスティ・インターナショナルが、ユヌス教授に

          【私のバングラデシュ・クロニクル】

          【読む映画】『彷徨のゆくえ』

          服従の強要に挟撃されるジレンマ《初出:『週刊金曜日』2016年9月9日号(1103号)、境分万純名義》    1984年、インディラ・ガンディ首相が暗殺された。ボディガードのシク教徒による犯行で、「ブルースター作戦」(Operation Blue Star)に対する報復だった。  ブルースター作戦とは、インド北西部パンジャブ州アムリッツァーにあるシク教総本山・黄金寺院(ハリマンディル・サーヒブ)に立てこもった分離過激派を、国軍が掃討した軍事行動である(こんにちの黄金寺院の概要

          【読む映画】『彷徨のゆくえ』

          『週刊金曜日』7月28日号で、8月11日公開の映画『アウシュヴィッツの生還者』をレビュー。バリー・レヴィンソン監督といえば、私にとっては何よりも『ウワサの真相/ワグ・ザ・ドッグ』(1997、米)。湾岸戦争への世論誘導に、エセ難民少女等を仕掛けた戦争広告代理店を諷刺する必見ドラマ。

          『週刊金曜日』7月28日号で、8月11日公開の映画『アウシュヴィッツの生還者』をレビュー。バリー・レヴィンソン監督といえば、私にとっては何よりも『ウワサの真相/ワグ・ザ・ドッグ』(1997、米)。湾岸戦争への世論誘導に、エセ難民少女等を仕掛けた戦争広告代理店を諷刺する必見ドラマ。

          【読む刺激】『アマルティア・セン回顧録』上下(全2巻)

          貧困や飢餓の撲滅に不可欠な民主主義 ノーベル賞経済学者の原点《初出:『週刊金曜日』2023年5月26日号(1425号)》   インドのアマルティア・センがノーベル経済学賞を受賞した1998年、私は、バングラデシュ・グラミン銀行創設者のムハマド・ユヌス総裁(当時)を、初めて取材した。そして貧困撲滅を目指すビジョンや実践に興奮して、同銀行やファミリー企業(社会企業)を追い始めた。  そういう感覚からすると、やはり貧困や飢餓の発生するメカニズムを分析し、経済の公正な分配を考えるセ

          【読む刺激】『アマルティア・セン回顧録』上下(全2巻)

          『週刊金曜日』7月14日号で、映画『サントメール ある被告』(2022、仏)を解題しています。特集がマイナカード返納のすすめで、時事通信社の「同期」でもあるジャーナリストの明石昇二郎(敬称つけると他人行儀でかえって変)の署名。フリーランス仲間の良い仕事を見るのは、いつも良い刺激。

          『週刊金曜日』7月14日号で、映画『サントメール ある被告』(2022、仏)を解題しています。特集がマイナカード返納のすすめで、時事通信社の「同期」でもあるジャーナリストの明石昇二郎(敬称つけると他人行儀でかえって変)の署名。フリーランス仲間の良い仕事を見るのは、いつも良い刺激。

          YouTubeで目についた米国映画『ジョナサン -ふたつの顔の男-』(2018)。プロットを調べた途端『殺す者と殺される者』を想起。米国ミステリ作家ヘレン・マクロイの1957年長編だ。映画データに原案などの言及はないが、ミステリファンが指摘してよさそうなもの。私が知らないだけ?

          YouTubeで目についた米国映画『ジョナサン -ふたつの顔の男-』(2018)。プロットを調べた途端『殺す者と殺される者』を想起。米国ミステリ作家ヘレン・マクロイの1957年長編だ。映画データに原案などの言及はないが、ミステリファンが指摘してよさそうなもの。私が知らないだけ?

          発売中『週刊金曜日』7月7日号に、映画『大いなる自由』のレビューを書いています。『GINZA』誌の取材に、監督が影響を受けた作品として『蜘蛛女のキス』(1985、ブラジル≂米)を挙げていて「!!」。たしかに私も連想させられたことを、突然思いだしました。1980年代ゲイ映画の名作。

          発売中『週刊金曜日』7月7日号に、映画『大いなる自由』のレビューを書いています。『GINZA』誌の取材に、監督が影響を受けた作品として『蜘蛛女のキス』(1985、ブラジル≂米)を挙げていて「!!」。たしかに私も連想させられたことを、突然思いだしました。1980年代ゲイ映画の名作。

          【読む刺激】『職業としてのシネマ』

          洋画配給の現場から 映画文化をめぐる問い《初出:『週刊金曜日』2021年10月29日号(1351号)》  映画館の興行規制など、コロナ禍による映画業界へのダメージ。他方で目覚ましい、ネットフリックスなど動画配信サービス(以下、OTT)の伸張。    映画のあり方が OTT に代わられる気配さえある昨今、『ワンダーウーマン』シリーズで知られるパティ・ジェンキンス監督の発言が注目された。  2021年8月末、米紙『ロサンゼルス・タイムズ』のイベントで、OTT が映画と称するオ

          【読む刺激】『職業としてのシネマ』

          【私のバングラデシュ・クロニクル】

          ムハマド・ユヌス氏インタビュー《初出:『Cat』2000年10月号、境分万純名義》

          【私のバングラデシュ・クロニクル】

          【私のバングラデシュ・クロニクル】

          バングラデシュ新政権がまとい続ける建国者の影 《初出:『週刊金曜日』1996年9月6日号、境分万純名義》  8月15日は、バングラデシュにとっても忘れられない日である。  21年前のこの日、初代大統領ムジブル・ラーマンが近親者らとともに暗殺された。  難を逃れたのはドイツを訪問していた2人の娘だけで、姉のハシナ・ワゼドはインドでの亡命生活を経たのちにアワミ連盟(AL)党首に就任。さる6月12日の総選挙では宿願を果たし、同国2番目の女性首相となった。  これによって、ここ2

          【私のバングラデシュ・クロニクル】

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          シャヒドゥル・アラム氏インタビュー《初出:『MAGAZINE ALC』2004年11月号、境分万純名義》

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          【読む映画】『ゴヤの名画と優しい泥棒』

          名画窃盗犯の要求は「公共放送の無料化」《初出:『週刊金曜日』2022年2月18日号(1365号)》    1961年、英国のロンドン・ナショナル・ギャラリーからゴヤの名画が盗まれた。ナポレオン戦争での軍功で知られる、ウェリントン公爵の肖像画である。  警察に送られた脅迫状は、名画購入額と同じ14万ポンドを要求。その使途が傑作だ。低所得者のために、英国放送協会(BBC)の受信料に充てるというのである。  本作は劇映画だが、実在の事件を元にしている。犯人の名はケンプトン・バント

          【読む映画】『ゴヤの名画と優しい泥棒』