見出し画像

隅田川 影と光と

三が日、東京はいいお天気でした。
ぽかぽか陽気に誘われて自転車で、ちょっと出かけてみました。
家の前に言問通りという通りが通っているので、これがどこまで続いているかたどってみるかなぁ……と。
どこまで続いていて、どうなっているか、なんて、地図で見ればわかるんですけど、景色見ながら、こんなふうにつながっているのね、と納得するのが面白いので地図で事前に詳細を調べることはあまりせず。

今まで住んでいたのは石神井川という川の近くだったので、その川をたどって上流へ、下流へ……なんていうことも何度かやりました。ひたすら下流へ降りていったら、隅田川に出て、そのちょっと先には荒川もあってビックリ……なんていうことも。

言問通り

そんなわけで、今回は川ではなくて、言問通りを下町方面へ。谷中の墓地を脇に見てまっすぐ行くと鶯谷。
線路にかかった橋の正面には、スカイツリー。
言問橋って、このスカイツリーに向かって突き進む道、という感じ。
これが驚くほどどんどん大きく高くなっていきます。
橋を渡って山手線の外側に出ると、そこは鶯谷。
HOTEL PRINCESS なんていう、どうみてもシティホテルじゃなさげな
ホテルの大きな看板が出ていて、あ、鶯谷だ、と実感。
飲食店が多くて、雑多なのは昔と変わりません。
といっていると、あっという間に、日比谷線の入谷駅。
最近入谷に越したという友人が「すぐそばだよ!」と言っていたのはこういう訳ねと納得しながら直進すると、ほどなく、浅草。
浅草寺の裏手当たりに出ます。その距離10キロもないような。

まぁ、台東区の中だもんね、浅草も谷中も。
浅草まで来れば、隅田川はすぐそこです。
隅田川は川沿いが整備され、お散歩の人がそこここに。
特に言問橋のすぐ脇から、昨年オープンしたすみだリバーウォークに入れるとあって、言問橋界隈はかなりの人でした。

自転車は、降りて押せば通れるんだそうです、すみだリバーウォーク。
隅田川沿いが東京みずまちとして再開発されたからでしょう、
本当に、隅田川沿い、きれいに広々としていい気持ちでした。
年末にコロナ感染者数が1300人となっての新年とはいえ、新名所はかなりの賑わいでした。まぁ、隅田川沿いは広々しているから、密!っていう感じでもありませんでしたが。

言問橋を渡ったあたりから、向島界隈へ。
向島百花園はコロナの関係で休園でした。
とはいえ、向島の七福神を巡る人達は、御朱印帳片手にそここに。
確か、ここの七福神は、それぞれの神社でお像が買えて、最後に
宝船も買えば、それを全部飾れるようになっていたような。
御朱印帳やお像を買いながら巡ると、神社の近くで、それぞれの名物を売っているお店があって、楽しいのがこの界隈です。

と、ここまではお祭り気分だったのだけれど、白鬚橋を上流に向かったあたりから、隅田川の雰囲気が一変します。
この界隈までは、川沿いに自転車でも入れて、サイクリングをしている人もそれなりにいるのだけれど、白鬚橋を越えると、とたんに川沿いは人通りが減ります。

そして、川沿いには、大きな荷物を載せた自転車を押す人。
ベンチには、荷物を抱えたままぼんやり腰を下ろす人。
ポツンポツンと見かける人の多くは60代以上と思しき男性達。
みんな一人で、川面を見たり、眠っていたり。
大分前の調査だけれど、平成17年の墨田区の調査でも、
路上生活者の人数が一番多かったのがこの地域。
白鬚橋の川下の、新名所の賑わいとは打って変わって、
ここには、ひとりぼっちで、外でお正月を迎えた人達がそこここに。
頭上からは首都高の結構な音。
寒くてうるさくて、ここでの野宿は大変だ。
それとも、夜はどこかブルーシートのテントに戻るとして、昼間
温かな時間をここで過ごしているのか……。

お気楽な格好で自転車に乗って侵入してしまったことので
妙に居心地が悪く、そそくさと、川沿いを退散。
白鬚橋から言問橋に戻ると、家族連れが三々五々歩いて行く。

橋がたった一本。でもその右と左では、いる人も
迎えるお正月の中身も、全然違う。
隅田川の影と光を目の当たりにしたら、さすがに言問橋の
人のざわめきに戻る気持ちになれず、そのまま、もと来た道を遡って
家まで戻ってきました。

得意技は家事の手抜きと手抜きのためのへりくつ。重曹や酢を使った掃除やエコな生活術のブログやコラムを書いたり、翻訳をしたりの日々です。近刊は長年愛用している椿油の本「椿油のすごい力」(PHP)、「家事のしすぎが日本を滅ぼす」(光文社新書)